【GX-ETS】 共同届出制度の条件と活用法を解説

GX-ETS第2フェーズでは、一定の要件を満たす密接関係者と共同で届出を行う共同届出制度が用意されています。完全子会社、子会社、関連会社、兄弟会社が密接関係者として認められ、一体的なGX関連投資が条件となります。本記事ではSSPの実務経験に基づき、共同届出制度の条件とメリット、活用上の注意点を整理します。

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目次

共同届出 要約

共同届出制度とは、GX-ETS第2フェーズにおいて密接関係者(完全子会社・子会社・関連会社・兄弟会社)が共同で排出目標量等の届出を行える仕組みである。グループとして一体的にGX関連投資を実施していることが制度利用の前提条件となる。共同届出体を組成することで、グループ内での排出枠の柔軟な運用が期待できるが、連帯した義務履行責任を負う点にも留意が必要だ。

共同届出 背景

日本の産業構造は企業グループ経営が主流であり、親会社と子会社が一体となって事業を運営するケースが多い。こうしたグループ経営の実態を踏まえ、GX-ETSでは個社単位の届出に加えて、グループ単位での共同届出を認める制度が設けられた。

共同届出制度の背景には、グループ全体でのGX投資の最適化を促進するという政策目的がある。個社ごとに排出目標量を管理するよりも、グループ単位で管理したほうが効率的な排出削減が実現できるケースが想定されるためだ。

一方で、共同届出は制度上の便宜を提供するものの、安易な利用は制度の趣旨に反する可能性がある。一体的なGX投資の実態が伴わない形式的な共同届出は認められない仕組みとなっており、制度設計には一定の歯止めが設けられている。

共同届出 定義

SSPでは、共同届出制度を次のように定義している。

「共同届出制度とは、GX-ETS第2フェーズの届出義務者が、密接関係者(完全子会社、子会社、関連会社、兄弟会社)と共同で排出目標量の届出および関連する報告を行うことができる制度をいう。共同届出体の組成には、一体的なGX関連投資の実施が条件として求められる。」

密接関係者の4区分は以下のとおりである。

(1) 完全子会社:議決権の100%を保有する子会社

(2) 子会社:議決権の50%超を保有する子会社(完全子会社を除く)

(3) 関連会社:議決権の20%以上50%以下を保有する会社

(4) 兄弟会社:同一の親会社を持つ会社

いずれの区分においても、GX関連投資を一体的に行っていることが共同届出の前提条件となっている。

共同届出 結論

共同届出制度の活用にあたり、以下の3点が結論として重要である。

1. 密接関係者の範囲を正確に判定する

議決権比率に基づく4区分の判定は、会計上の連結範囲とは必ずしも一致しない場合がある。GX-ETS固有の定義に基づいて密接関係者を判定し、共同届出の対象範囲を確定させることが第一歩となる。

2. 一体的GX投資の証明が鍵を握る

単にグループ関係にあるだけでは共同届出は認められない。グループとしてGX関連投資を一体的に実施している実態を証明する資料が不可欠であり、投資計画や予算配分の文書化が求められよう。

3. 連帯責任のリスクを理解した上で判断する

共同届出体を組成した場合、構成員は連帯して義務履行の責任を負う。一社の不履行がグループ全体に影響するリスクがあるため、参加企業の管理体制を事前に確認することが不可欠だ。

共同届出 論点

共同届出制度の活用にあたり押さえるべき主要論点を以下に整理した。

共同届出 比較

単独届出と共同届出の違いを以下に比較する。

共同届出 重要点

密接関係者の4区分の判定

共同届出制度を活用するにあたり、最初に行うべきは密接関係者の判定作業である。議決権比率に基づく4区分(完全子会社、子会社、関連会社、兄弟会社)はそれぞれ明確な基準があるが、実務上はグループ内の資本関係が複雑な場合に判定が困難になるケースがある。

たとえば、間接保有を通じた議決権の算定や、議決権と出資比率が乖離しているケースでは慎重な検討が必要になる。また、組織再編やM&Aにより資本関係が変動した場合には、密接関係者の該当性が変わる可能性もあるため、定期的な見直しが望ましい。SSPとしては、法務部門やグループ管理部門と連携し、正確な議決権構造を把握した上で判定を行うことを推奨する。

共同届出体の組成手続き

共同届出体を組成するには、構成員となる各法人の合意を得た上で所定の申請手続きを行う必要がある。組成にあたっては、一体的なGX関連投資の実施を証明する資料の提出が求められ、形式的な申請だけでは認められない仕組みとなっている。

組成手続きの実務上のポイントとして、グループ内での意思決定プロセスの整備が挙げられる。共同届出体として活動する以上、排出目標量の設定や排出枠の管理に関してグループ内での合意形成が不可欠であり、そのためのガバナンス体制を事前に構築しておく必要がある。各社の取締役会決議や覚書の締結など、適切な社内手続きを経て組成申請に臨むべきであろう。

共同届出 手順

共同届出体の組成から届出までの手順を以下に示す。

ステップ1:グループ内の資本関係と密接関係者の調査

グループ内の議決権比率を調査し、4区分に基づく密接関係者の該当法人を特定する。間接保有や持株会社構造にも注意を払い、正確な判定を行う。

ステップ2:一体的GX投資の実態確認と証明資料の整備

グループとしてGX関連投資をどのように一体的に実施しているかを確認し、投資計画書・予算配分表・取締役会議事録等の証明資料を整備する。

ステップ3:共同届出体の組成に関する社内合意

構成員となる各法人の取締役会等で共同届出体への参加を正式に決議する。グループガバナンスの観点から、義務履行の連帯責任についても確認を行う。

ステップ4:組成申請の提出

所定の期限までにERMSを通じて共同届出体の組成申請を提出する。密接関係者の該当性を示す資料と一体的GX投資の証明資料を添付する。

ステップ5:共同での排出目標量の届出

組成が認められた後、共同届出体として排出目標量の届出を行う。構成員全体の基準排出量を合算した上で目標量を設定するため、グループ内のデータ集約が必要になる。

ステップ6:共同届出体としての継続的な管理

届出完了後も、構成員の排出量モニタリング、排出枠の管理、年度報告をグループ単位で一体的に実施していく。構成員の変更が生じた場合には速やかに変更届出を行うことが求められる。

共同届出 FAQ

Q. 共同届出のメリットは何ですか?

A. グループ単位で排出枠を管理できるため、グループ内での排出削減の柔軟性が向上します。ある子会社で排出枠が余り、別の子会社で不足している場合に、グループ内での調整が容易になることが主なメリットです。

Q. 密接関係者の判定に使う議決権比率は直接保有のみですか?

A. 間接保有も含めた実質的な議決権で判定される見込みです。持株会社を通じた間接的な支配関係も考慮されるため、グループの資本構造全体を正確に把握する必要があります。

Q. 共同届出体の構成員を途中で変更できますか?

A. 所定の手続きを経れば構成員の追加や脱退は可能とされています。ただし、変更に際しては基準値の再計算や届出の修正が必要となる場合があり、相応の事務負担が発生します。

Q. 共同届出体の一社が義務を果たせない場合どうなりますか?

A. 共同届出体の構成員は連帯して義務を負うため、一社の不履行は他の構成員にも影響を及ぼします。グループ内のガバナンス体制を整備し、各社の履行状況を監督する仕組みが重要となります。

Q. 出資比率20%未満のグループ会社は共同届出に参加できませんか?

A. 議決権20%未満の場合は密接関係者に該当しないため、共同届出の対象にはなりません。個社として単独で届出を行う必要があります。ただし、今後の制度見直しで基準が変更される可能性もあるため、最新の規定を確認することが大切です。

共同届出 まとめ

共同届出制度は、グループ経営を行う企業にとってGX-ETS対応の効率化を図る有力な手段である。密接関係者の正確な判定と一体的GX投資の証明が制度利用の前提となり、連帯責任のリスクも踏まえた上での意思決定が求められる。

グループ内のガバナンス体制の整備、社内合意の形成、証明資料の準備を計画的に進めることが活用の鍵となろう。

この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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