CDP 2026 プラスチック M10徹底解説

CDP プラスチック領域は、CDP 2026のModule 10として全11問が変動した変動率100%の再編領域となりました。ただしCDP公式によれば、Module 10とModule 11はそれぞれプラスチックと生物多様性のテーマ領域に限定された質問群であり、CDPのスコアリング対象外です。本記事はCDP プラスチックの再編内容と、SME質問書のModule 21・Module 22新設の影響を解説します。

※本記事はCDP 2026の公式英語資料を一次情報として整理したものです。質問番号やEssential Criteria、Type of verification、Disclosure・Awareness・Management・Leadershipといった用語は、CDP公式資料との照合性を優先し、原文表記のまま記載しています。

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目次

CDP プラスチック 要約

CDP 2026のModule 10は全11問のうち、Modified question 7問・New question 4問により、変動率100%の再編領域です。CDP公式の位置付けではModule 10とModule 11、すなわち生物多様性は採点対象外ですが、質問書としての変更は大きく、新設質問4件、すなわち10.1.1目標詳細、10.5.1包装フォーマット、10.5.2リサイクル設計および/またはコンポスト設計の準拠、10.5.4リユースモデルが追加されました。同時にSME質問書にModule 21のForests関連質問群とModule 22のWater Security関連質問群がそれぞれ14問ずつ新設されています。

CDP プラスチック 背景

プラスチック汚染問題は近年、国際的なサステナビリティ課題として急速に重要性を増しています。Ellen MacArthur Foundation Global Commitment すなわちEMF Global Commitmentは、世界主要企業によるプラスチック削減目標の自主的枠組みであり、サーキュラーエコノミーへの移行を推進しています。EMF Global Commitmentの正式発足年についてはEMF公式サイトで確認することが推奨されます。

CDP 2026のModule 10再編はこのEMF Global Commitmentへの整合化が主要な動因です。Module 10内の用語定義、すなわちplastic packaging・reusable packaging・recyclable in practice and at scale・circular economy・post-consumer recycled contentなどの多くが、CDP 2026 questionnaire本体で「adapted from EMF’s Global Commitment definitions and reporting guidelines 2030」と明記されています。

ここで重要な前提として、CDP 2026 Full Corporate Scoring Changes 2026文書では、Module 10のプラスチックとModule 11の生物多様性は採点対象外であると明記されています。スコアへの直接影響はないものの、投資家・顧客・規制当局への開示として情報の質と網羅性は問われる領域です。

加えて、SME質問書のModule 21とModule 22が新設されたことで、中堅企業の開示範囲も実質的に拡大しました。これまでClimate Changeのみ対応していたSME組織でも、新たにForestsとWaterへの対応が発生する点が、グループ系列を持つ大企業にとっても重要な論点となります。

CDP プラスチック 定義

CDP プラスチックは、CDPのModule 10として段階的に導入されてきたプラスチック関連開示の領域です。Module 10の正式な統合時期についてはCDP公式アーカイブで確認することが推奨されます。SSPはこれを、組織のプラスチック関連活動、すなわち生産・販売・使用・廃棄・リサイクルについて、目標・パフォーマンス・対応イニシアチブを総合的に問う評価体系と定義します。2026年からEMF Global Commitmentへの整合性が大幅に強化されています。

CDP プラスチック 基礎

CDP プラスチックで評価される主な項目は次のとおりです。

質問10.1で組織のプラスチック関連目標の有無を開示します。

質問10.1.1で目標詳細、すなわち基準年、目標年、進捗、整合する国際枠組みを開示します。新設質問で、列構成は17列に及びます。

質問10.2でプラスチック関連活動、すなわち生産・販売・使用・廃棄・リサイクルを開示します。

質問10.3から10.5で、プラスチックポリマー、耐久財、包装の重量と原料区分を開示します。

質問10.5.1で包装フォーマット、すなわちリジッド・フレキシブル等の構成比を開示します。新設質問です。

質問10.5.2でリサイクル設計および/またはコンポスト設計の準拠の有無を開示します。新設質問で、列構造には「% of packaging that is designed for recycling」と「% of packaging that is designed for composting」が並列で含まれます。

質問10.5.4でリユースモデルでの製品提供割合を開示します。新設質問で、対象はB2C primary packaging、すなわち消費者向けの一次包装に限定されています。

質問10.6でプラスチック廃棄物と廃棄管理経路を開示します。

CDP プラスチック 結論

CDP プラスチック対応の優先度は、自社のプラスチック関連活動の規模と業態に依存します。SSPの結論は次のとおりです。

  • 食品・飲料セクター、消費財セクター、化学セクターは、Module 10再編の影響を最も大きく受けます。包装関連データの収集体系の再設計が必要です。

  • 新設質問4件、すなわち10.1.1、10.5.1、10.5.2、10.5.4は過去回答の流用が不可となるため、新たにデータ収集体系を構築する必要があります。

  • リユースモデルでの製品提供割合 (10.5.4) は、社内定義の確立とトラッキング体系が必要です。CDP 2026 questionnaireはこの質問でEMF Global Commitmentとの整合を示しており、対象範囲はB2Cプライマリ包装に限定されています。

  • SME系列を持つ大企業は、グループ全体の負荷を試算する必要があります。Module 21・Module 22新設により、SME組織の対応工数が大幅に増加します。

CDP プラスチック 変更点

CDP 2026のModule 10とSME拡充の主要な変更は次のとおりです。

新設質問10.1.1のプラスチック関連目標の詳細、すなわち基準年・目標年・進捗・整合枠組みなど17列の質問構成。

新設質問10.5.1の包装フォーマット内訳。リジッド・フレキシブル等の構成比を求めます。

新設質問10.5.2のリサイクル設計および/またはコンポスト設計準拠の有無。Design for Recyclingガイドラインまたは Design for Compostingガイドライン準拠を確認します。

新設質問10.5.4のリユースモデルでの製品提供割合。EMF Global Commitmentとの整合に基づく指標で、対象はB2Cプライマリ包装に限定されています。

SME質問書にModule 21のForests関連質問群とModule 22のWater Security関連質問群がそれぞれ14問ずつ新設されました。Tracker上で全28問が「New question」として確認できます。

CDP プラスチック 論点

CDP プラスチック対応で実務担当者が判断を迫られる主要な論点は次のとおりです。

論点重要度判断のポイントよくある誤解SSPの推奨スタンス
包装フォーマットの内訳整理リジッド・フレキシブル等の構成比を集計既存包装データで対応可新たに包装フォーマット別に再集計
リサイクル設計準拠の判定Design for RecyclingおよびDesign for Compostingガイドライン準拠を判定自社判断で良い国際的なガイドラインに基づく判定が必要
リユースモデルの社内定義何をリユースとして計上するかの定義が必要業界一般定義で対応可社内定義を確立しトラッキング
プラスチック関連目標の整合枠組み目標がEMF等の国際枠組みに整合目標があれば良い整合する国際枠組みを明示
SME系列のModule 21・22対応グループ全体の負荷を試算SMEは自主対応早期に方針共有とリソース配分
過去回答からの流用可否新設質問は流用不可過去回答を再利用新設質問は新たに記載
第三者検証スコープへの追加プラスチック関連データの検証可能性検証は不要重要データは検証スコープに追加

CDP プラスチック 比較

CDP 2025とCDP 2026のModule 10の主要な比較は次のとおりです。

項目CDP 2025CDP 2026
質問変動率基準年全11問が変動、変動率100%
目標詳細質問なし10.1.1新設、17列構成
包装フォーマット内訳なし10.5.1新設
リサイクル設計準拠なし10.5.2新設、Design for RecyclingおよびDesign for Composting両方
リユースモデルなし10.5.4新設、対象はB2Cプライマリ包装
EMF Global Commitment整合性部分的用語定義レベルで整合
SME質問書Climate中心Forests・Water新設、各14問

CDP プラスチック 章解説

CDP Full Corporate Scoring Changes 2026のModule 10セクションの章別解説は次のとおりです。

第10.1章 プラスチック関連目標

何が求められるか。組織のプラスチック関連目標の有無と詳細、すなわち基準年、目標年、進捗、整合枠組みを開示します。実務影響は何か。新設質問10.1.1で17列の詳細データが要求されるため、目標管理体系の再整備が必要です。注意点は何か。整合する国際枠組み、EMF Global Commitment等との関係を明示する必要があります。

第10.5章 プラスチック包装

何が求められるか。プラスチック包装の総重量、原料区分、フォーマット内訳、リサイクル設計および/またはコンポスト設計準拠、リユースモデル提供割合を開示します。実務影響は何か。包装関連データの収集体系の再設計が必要です。注意点は何か。新設質問3件、すなわち10.5.1、10.5.2、10.5.4は新たなデータ収集が必要となります。10.5.4はB2Cプライマリ包装のみが対象である点に注意が必要です。

Module 21章 SME Forests。何が求められるか。SME組織が取り扱うコモディティの開示、no-DCF目標、トレーサビリティ、第三者検証等の14問が新設されました。実務影響は何か。これまでClimate Changeのみ対応していたSME組織でも、新たにForestsへの対応が発生します。注意点は何か。グループ系列のSME組織への早期方針共有が必要です。

Module 22章 SME Water Security。何が求められるか。SME組織の水会計、水関連目標、ストレス地域取水、第三者検証等の14問が新設されました。実務影響は何か。SME組織の水関連データ収集体系を新規構築する必要があります。注意点は何か。Module 21と同様、グループ全体の対応工数を試算することが推奨されます。

CDP プラスチック 重要点

EMF Global Commitmentとの整合化。Module 10再編の主要な動因はEMF Global Commitmentへの整合化です。EMFはサーキュラーエコノミーへの移行を推進する国際的な枠組みであり、世界主要企業によるプラスチック削減目標の自主的なコミットメント体系を提供しています。CDP 2026 questionnaire本体ではModule 10内の用語定義の多くがEMF Global Commitment definitions and reporting guidelines 2030から導出されており、EMF Global Commitmentに既に参加している組織は対応がスムーズに進められます。

SME系列のModule 21・22への対応。SME質問書の拡充は、大企業グループにとって重要な論点です。グループ系列のSME組織がCDPに対応している場合、新設のModule 21とModule 22への対応工数を全体で試算する必要があります。SME組織の規模ではForests・Waterの対応負荷が大きいため、本社が方針共有・リソース配分・データ収集設計を早期に進めることが推奨されます。

CDP プラスチック 手順

CDP プラスチック対応の実務フローは次のとおりです。

自社のプラスチック関連活動を再棚卸する

生産・販売・使用・廃棄・リサイクルの活動範囲を網羅的に確認します。

包装フォーマットの内訳を整理する

リジッド・フレキシブル等の構成比を、製品ライン別に集計します。

リサイクル設計および/またはコンポスト設計準拠を判定する

Design for Recyclingガイドライン および Design for Compostingガイドラインに照らして判定します。

リユースモデルの社内定義を確立する

何をリユースとして計上するかの定義とトラッキング体系を構築します。対象範囲はB2Cプライマリ包装に限定される点を踏まえます。

プラスチック関連目標を整合枠組みに対応させる

EMF Global Commitment等の国際枠組みとの整合性を整理します。

SME系列の対応方針を共有する

Module 21・Module 22新設に伴うグループ全体の負荷を試算し、早期に方針を共有します。

データ収集体系を再設計する

新設質問4件のデータが既存集計から取得できるかを確認し、不足分の収集を計画します。

第三者検証スコープへの追加を検討する

プラスチック関連の重要データを検証スコープに含めるかを判断します。

CDP プラスチック FAQ

Q1 リジッドとフレキシブルの分類はどうしますか

包装業界の標準的な分類に従います。リジッド包装はボトル・容器等の固形包装、フレキシブル包装はフィルム・袋等の柔軟性のある包装を指します。詳細はEMFのガイドラインを参照することが推奨されます。

Q2 リサイクル設計準拠とコンポスト設計準拠の判定基準は何ですか

Q10.5.2はDesign for Recyclingガイドラインまたは Design for Compostingガイドラインへの準拠を判定します。国別・地域別のガイドラインがあるため、自社の主要市場のガイドラインを参照することが推奨されます。

Q3 リユースモデルの定義はどうしますか

Q10.5.4はEMF Global Commitmentとの整合に基づく指標で、対象はB2Cプライマリ包装のみです。詰め替え・返却制度・サブスクリプション等の各種リユースモデルが対象となります。社内定義は国際的な枠組みに整合させることが推奨されます。

Q4 SME系列のModule 21・22対応は本社が支援すべきですか

グループ全体の対応負荷を試算した上で、本社支援の範囲を決定します。データ収集設計、回答テンプレート提供、第三者検証スコープの調整など、本社主導での効率化が可能な領域があります。

Q5 過去回答からの流用はどこまで可能ですか

新設質問4件、すなわち10.1.1、10.5.1、10.5.2、10.5.4は流用不可です。既存質問の回答については、Copy Forwardシートで質問単位の流用可否を確認します。

Q6 EMF Global Commitmentに参加していない組織はどうすべきですか

参加していない組織でも質問への回答は必要です。整合する国際枠組みについては、EMF以外にも国別・地域別の枠組みがあるため、自社が整合する枠組みを明示することが推奨されます。

CDP プラスチック 全体像

CDP 2026の主要変更点全体については、CDP 2026 全体像と主要変更点まとめ で全体俯瞰を行っています。Forestsや第三者保証など他の領域の変更点と合わせて自社の対応戦略を立てる場合は、詳細記事をご参照ください。

CDP プラスチック まとめ

CDP プラスチック領域はEMF Global Commitmentへの整合化により大幅に再編されました。食品・飲料・消費財・化学セクターは新設質問4件への対応とデータ収集体系の再設計が必要です。SME系列を持つ大企業は、Module 21・Module 22新設に伴うグループ全体の対応工数を早期に試算することが推奨されます。SSPはCDPスコア向上に向けた第三者検証を専門領域として支援しています。プラスチック関連データを含む検証スコープについてはお問い合わせください。

参考リンク

CDP Plastics Module 10 Full Corporate Questionnaire 2026
Ellen MacArthur Foundation Global Commitment
CDP公式ガイダンスポータル myportal.cdp.net
CDP SME Questionnaire Module 21 / Module 22

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この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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