【GX-ETS】 GX-ETSとGXリーグの違い 第1フェーズからの変更点

GX-ETSは2023年度の第1フェーズであるGXリーグから、2026年度の第2フェーズで法的義務を伴う排出量取引制度へと移行します。自主参加から義務化への転換は制度の根幹を変えるものであり、対象企業の実務に大きな影響を及ぼすこととなります。本記事ではSSPの実務経験に基づき、両フェーズの違いを体系的に整理します。

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目次

GXリーグとの違い 要約

GX-ETSの第1フェーズであるGXリーグは企業の自主参加に基づく制度でしたが、第2フェーズはGX推進法に基づく法的義務を伴う制度へと変わります。対象者の範囲、排出枠の法的性格、不足時の措置、罰則の有無、第三者確認の仕組みなど、制度の根幹が大きく刷新されることとなりました。GXリーグ参加企業も新制度への対応が欠かせません。

GXリーグとの違い 背景

GXリーグは2022年に構想が発表され、2023年度から第1フェーズとして運用が開始されました。約680社が自主的に参加し、排出削減目標の設定と進捗管理を行ってきた経緯があります。しかしながら、この枠組みは法的拘束力を持たず、参加しない企業には何の義務も課されていませんでした。

第2フェーズへの移行は、日本の排出量取引制度を実効性のある政策手段に転換するための措置にあたります。GX推進法の施行により、CO2直接排出量の3年度平均が10万t以上の事業者は法律上の義務として制度に参加しなければなりません。

GXリーグに参加していた企業も第2フェーズでは新たな制度の枠組みに移行することとなります。第1フェーズでの自主的な取り組みがそのまま第2フェーズの義務履行として認められるわけではなく、新制度の手続きに沿った対応が必要です。

GXリーグとの違い 定義

SSPはGXリーグと第2フェーズの違いを次のように定義しています。GXリーグはGXリーグ基本構想に基づく自主参加の枠組みであり、法的拘束力を持たない企業の意思表明と目標管理の仕組みにあたります。これに対し第2フェーズはGX推進法に基づく義務的キャップアンドトレード制度であり、届出義務、排出枠の保有義務、償却義務、違反時の罰則を伴うものとなっています。

両者の決定的な違いは、制度への参加が企業の意思ではなく法律の要件によって決まるという点にあります。

GXリーグとの違い 結論

SSPは第1フェーズから第2フェーズへの移行において、次の3点を特に重要と考えています。

第一に、GXリーグへの参加実績は第2フェーズの義務履行とは別物であるという点が挙げられます。第1フェーズで設定した目標や報告した排出量は、第2フェーズの排出目標量や排出実績量とは別の計算体系で算出されるためです。

第二に、第三者確認の仕組みが根本的に変わることに留意が必要です。GXリーグではGXリーグ事務局が承認を行っていましたが、第2フェーズでは経済産業大臣の登録を受けた登録確認機関がISO 14064-3またはISSA 5000等に基づいて確認を行う体制となります。

第三に、不足時のペナルティが制度化される点も見逃せません。GXリーグには法的な制裁措置がありませんでしたが、第2フェーズでは未償却相当負担金の納付義務と罰金規定が設けられています。

GXリーグとの違い 論点

論点

論点実務での重要度判断のポイントよくある誤解SSPの推奨スタンス
法的義務の範囲届出、保有義務、償却が全て法的義務GXリーグと同じ自主的な取り組みという誤解法令遵守の観点から対応体制を構築する
排出目標量の算定方法BM方式またはGF方式で国の基準に基づき算定自社で自由に目標を設定できるという誤解20の特定事業活動の該当判定を正確に行う
第三者確認の変更登録確認機関がISO 14064-3またはISSA 5000等に基づき確認GXリーグ時代の事務局承認で足りるという誤解登録確認機関との早期契約を進める
報告システムの移行GXリーグの報告からERMSへ移行既存の報告体系がそのまま使えるという誤解ERMSの操作方法を早期に習得する
罰則と負担金虚偽届出に50万円以下の罰金。不足時に負担金罰則がないという誤解コンプライアンス体制に組み込む
排出枠の市場取引GX推進機構が開設する取引市場で売買可能排出枠は譲渡できないという誤解市場取引のルールと上限価格を把握する
実測値の承認手続事前申請不要。報告時に登録確認機関が確認GXリーグ同様に事前申請が必要という誤解実測値を使う場合は報告時の記載方法を確認する

GXリーグとの違い 比較

比較項目第1フェーズ GXリーグ第2フェーズ GX-ETS
法的根拠GXリーグ基本構想GX推進法
参加形態自主参加法的義務
対象者の決定企業の意思表明CO2直接排出量の3年度平均10万t以上で自動的に対象
排出目標の設定企業が自主設定BM方式またはGF方式で国の基準に基づき算定
排出枠の性格自主的な目標管理法的義務を伴う排出枠
不足時の措置なし未償却相当負担金の納付義務
罰則なし虚偽届出等に50万円以下の罰金
第三者確認GXリーグ事務局が承認登録確認機関がISO 14064-3またはISSA 5000等に基づき確認
報告システムGXリーグ事務局への報告ERMSによる電子届出
実測値の使用事前申請が必要事前申請不要。報告時に記載し登録確認機関が確認
移行計画任意提出義務あり。経済産業大臣と事業所管大臣が公表
取引市場限定的GX推進機構が開設する排出枠取引市場

GXリーグとの違い 重要点

排出目標量の算定方法が根本的に変わる

GXリーグでは企業が自主的に排出削減目標を設定していました。目標の設定方法は企業の裁量に委ねられており、各社の事業戦略に応じた柔軟な目標設定が可能な仕組みだったといえます。

一方、第2フェーズでは排出目標量の算定方法が制度として定められています。20の特定事業活動に該当するプロセスにはベンチマーク方式が適用され、国が告示で公表する目指すべき排出原単位に基準活動量を掛けて算出することになります。それ以外のプロセスにはグランドファザリング方式が適用され、基準年度の排出量から毎年一定率を削減して算出する仕組みとなっています。

企業が計算方法を選ぶことはできません。自社のプロセスがどの特定事業活動に該当するかを照合し、決められた計算方法を適用しなければなりません。

第三者確認の体制を再構築する必要がある

GXリーグではGXリーグ事務局が実測値の承認やモニタリング方法の承認を行っていましたが、第2フェーズではこれらの機能が登録確認機関に移管されることとなります。

登録確認機関は経済産業大臣の登録を受けた第三者機関であり、ISO 14064-3またはISSA 5000等の国際基準に基づいて確認業務を行います。確認の水準は限定的保証であり、排出目標量と排出実績量の両方が確認対象に含まれます。

したがって、GXリーグ時代に利用していた検証体制がそのまま使えるとは限りません。登録確認機関として登録された機関との新たな契約が必要であり、確認業務の進め方も異なるため、早期の対応が求められます。

GXリーグとの違い 手順

1. 自社のGXリーグ参加状況を確認する。第1フェーズで設定した目標や報告内容を整理し、第2フェーズとの差異を把握します。

2. 第2フェーズの制度対象者に該当するか判定する。CO2直接排出量の3年度平均が10万t以上であるかを算定します。GXリーグ参加の有無にかかわらず判定が必要となります。

3. 排出目標量の算定方法を特定する。自社のプロセスが20の特定事業活動に該当するかを確認し、BM方式とGF方式の適用区分を決定します。

4. 登録確認機関を選定し契約する。GXリーグ時代の検証体制を見直し、登録確認機関として登録された機関と新たに契約することが求められます。

5. ERMSのアカウントを開設する。GXリーグの報告システムとは別にERMSへの移行が必要にあたります。

6. 社内の報告体制を再構築する。割当区分ごとの排出量報告が求められるため、モニタリング体制を割当区分に対応した設計に見直します。

GXリーグとの違い FAQ

Q1 GXリーグに参加していれば第2フェーズの届出は不要ですか

不要ではありません。第2フェーズは別制度であり、GXリーグへの参加実績は第2フェーズの義務履行とは関係がありません。制度対象者に該当する場合は新たに届出を行う必要があります。

Q2 GXリーグで設定した目標は第2フェーズに引き継がれますか

引き継がれることはありません。第2フェーズの排出目標量はBM方式またはGF方式で国の基準に基づき算定されるため、GXリーグの自主目標とは別の計算体系となっています。

Q3 GXリーグの検証機関は第2フェーズでもそのまま使えますか

登録確認機関として経済産業大臣の登録を受けている場合に限り利用可能となります。登録を受けていない場合は、新たに登録確認機関と契約しなければなりません。

Q4 GXリーグに参加していなかった企業も第2フェーズの対象になりますか

対象となります。第2フェーズは法的義務に基づく制度であり、GXリーグへの参加有無にかかわらず、CO2直接排出量の3年度平均が10万t以上の事業者は全て制度対象に含まれます。

Q5 第1フェーズの排出削減実績は第2フェーズで評価されますか

直接的には評価されません。ただし制度開始前に排出削減に取り組んだ実績については、早期削減努力の反映という調整措置の対象となる可能性もあります。

Q6 GXリーグの報告データは第2フェーズの基準年度データに使えますか

基準年度データの算定にはGX-ETSの排出量算定マニュアルに基づく計算が必要となります。GXリーグで報告した数値をそのまま使用することはできませんが、参考値として活用することは可能です。

GXリーグとの違い 全体像

GX-ETS第2フェーズの制度全体像については、制度の骨格から届出、償却までの流れを網羅的に解説した記事をご覧ください。

GXリーグとの違い まとめ

GXリーグとの違いを理解することは、第2フェーズへの円滑な移行に不可欠といえます。最大の変化は自主参加から法的義務への転換であり、対象者の決定、排出目標量の算定方法、第三者確認の仕組み、不足時のペナルティが全て刷新されることとなりました。

GXリーグに参加していた企業もそうでない企業も、第2フェーズでは同じ制度の下で義務を履行しなければなりません。GXリーグ時代の体制や手続きがそのまま使えるわけではないため、新制度の要件に沿った体制の再構築をSSPとして推奨いたします。

この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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