【GX-ETS】 活動量変動の調整 BMとGFの7.5%ルールを解説

GX-ETS第2フェーズでは、ベンチマーク方式(BM)対象事業活動およびグランドファザリング方式(GF)対象事業活動の双方において、直近2年度の活動量実績の平均が基準活動量から7.5%以上乖離した場合、基準活動量(または基準排出量)が更新される仕組みが設けられています。生産量・燃料使用量・排出量の大幅な増減に対応するための措置であり、毎年プロセス(事業活動)ごとに個別に判定します。本記事ではSSPの実務経験に基づき、7.5%ルールの判定方法と実務上の注意点を整理します。

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目次

活動量変動 要約

活動量変動の調整は、BM対象事業活動およびGF対象事業活動の双方に適用されます。直近2年度の活動量実績の平均と基準活動量の乖離が7.5%以上の場合に基準活動量(基準排出量)が更新され、排出目標量が再計算されます。事業活動の種類によって追加の適用要件(エネルギー消費原単位の改善状況、調整前後の割当量比較)が異なり、特にGFエネルギー起源排出は3つの要件すべてを満たす必要があります。災害や保安検査の影響を受けた場合は適用除外となる場合があります。

活動量変動 背景

基準活動量・基準排出量は2023年度から2025年度の3年平均で固定されていますが、実際の生産量・燃料使用量・排出量は市場環境や事業戦略によって年々変動するものです。基準値から大幅に乖離した場合、排出目標量と実態との間に不合理な差が生じます。活動量が増えているのに基準が据え置かれると排出枠が不足し、逆に減っているのに据え置かれると過剰な排出枠が生じてしまいます。7.5%という閾値はこの不合理を是正するための基準として設定されており、BM対象事業活動だけでなくGF対象事業活動(エネルギー起源・原材料起源・副生燃料起源)にも適用されます。

活動量変動 定義

SSPは活動量変動の調整を次のように定義しています。BM対象事業活動およびGF対象事業活動において、直近2年度の活動量実績の平均が基準活動量(基準排出量)から7.5%以上乖離した場合に、基準活動量(基準排出量)を直近2年度の平均値に更新し、排出目標量を再計算する調整措置です。判定は事業活動ごとに毎年行い、適用要件は事業活動の種類ごとに異なります。連続して3年度以上制度対象となっている事業者が対象となります。

活動量変動 結論

SSPはこの調整措置において3点を特に重要と考えています。第一に、BM対象事業活動だけでなくGF対象事業活動(エネルギー起源・原材料起源・副生燃料起源すべて)にも適用される点を正確に理解することです。第二に、事業活動の種類ごとに適用要件が異なる点に留意することです(製品BMは活動量変動のみ、燃料BMは活動量変動+エネルギー消費原単位、GFエネルギー起源は3要件すべて)。第三に、判定は事業活動ごとに個別に行うものであり、該当する場合には適用が義務となるため、見落としや判定漏れがないよう毎年度確認する必要があります。

活動量変動 比較

事業活動の種類適用要件備考
製品BM対象事業活動(1) 活動量変動7.5%以上シンプル判定
燃料BM対象事業活動(1) 活動量変動7.5%以上 + (2) エネルギー消費原単位の改善状況有機化学・ゴム・高炉下・電炉下が対象
GF対象事業活動 エネルギー起源(1) (2) (3) すべて調整前後の割当量比較も追加
GF対象事業活動 原材料起源(1) 活動量変動7.5%以上排出量の変動で判定
GF対象事業活動 副生燃料起源(1) 活動量変動7.5%以上排出量の変動で判定

活動量変動 重要点

判定の基本式と事業活動の定義

判定式は「|(直近2年度の活動量平均 − 更新前基準活動量)÷ 更新前基準活動量| × 100 ≧ 7.5%」です。ここで活動量とは、製品BMでは生産量(補正係数適用後)、燃料BMでは燃料使用量(GJ)、GFエネルギー起源では燃料使用量、GF原材料起源および副生燃料起源では排出量(tCO2)を指します。連続して3年度以上制度対象となっている事業者がこの判定の対象です。

燃料BMの追加要件(エネルギー消費原単位)

有機化学工業製品製造、ゴム製品製造業、高炉下工程、電炉普通鋼下工程、電炉特殊鋼下工程の燃料BM対象事業活動と、GFエネルギー起源排出については、活動量変動7.5%に加えて、省エネ法定期報告のエネルギー消費原単位の改善状況による追加判定が課されます。活動量増加時はエネルギー消費原単位の増加率が7.5%未満であれば適用、減少時はエネルギー消費原単位の減少率が7.5%以上であれば適用しない(証明できない場合は適用する)という非対称な構造です。

GFエネルギー起源の追加要件(調整前後の割当量比較)

GFエネルギー起源排出に限り、要件(1)(2)に加えて(3)として「更新後基準排出量を用いて経過年数1年で算定した排出目標量」と「更新前基準排出量を用いて更新前の経過年数で算定した排出目標量」の比較が課されます。活動量増加時は更新後の方が多ければ適用、減少時は更新後の方が少なければ適用するという調整が必要です。

適用除外(災害・保安検査)

2.8.2の基準に該当する場合であっても、届出年度の前年度に災害(特定非常災害・激甚災害・災害救助法適用災害等)により著しく被害を受けた場合、感染症等により事業者規模で著しく被害を受けた場合、または高圧ガス保安法第35条第1項に規定する特定施設として保安検査(開放検査に限る)を実施した場合には、基準活動量(基準排出量)を更新せずに排出目標量を算定することができます。証憑として罹災証明書、特定非常災害指定政令、保安検査記録等の整備が必要です。

活動量変動 手順

  1. 制度対象3年度目以降である事業者は、BM対象事業活動およびGF対象事業活動(エネルギー起源・原材料起源・副生燃料起源)の事業活動を特定する。
  2. 各事業活動の直近2年度の活動量データ(製品BMは生産量、燃料BMとGFエネルギー起源は燃料使用量、GF原材料起源と副生燃料起源は排出量)を収集する。
  3. 基準活動量との乖離率(絶対値)を算出し、7.5%以上か否かを判定する。
  4. 燃料BMおよびGFエネルギー起源は、省エネ法定期報告のエネルギー消費原単位の改善状況も確認する。
  5. GFエネルギー起源はさらに、更新前後の排出目標量を比較し、適用要件(3)を判定する。
  6. 適用が確定したら基準活動量(基準排出量)を直近2年度の平均値に更新し、当該届出年度分の排出目標量を再算定する。
  7. 直近2年度の事後調整分(更新後と更新前の差分による排出目標量)を併せて届け出る。
  8. 更新の根拠データについて登録確認機関の確認を受ける。

活動量変動 FAQ

Q1 GFに7.5%ルールは適用されますか

適用されます。マニュアル2.8.2の表により、GF対象事業活動のエネルギー起源排出(要件1・2・3すべて)、原材料起源排出(要件1)、副生燃料起源排出(要件1)すべてに7.5%ルールが適用されます。BM方式対象プロセスのみという誤解が広まっていますが、最新マニュアルではGFも明確に対象です。

Q2 7.5%未満の場合は何もしなくてよいですか

判定の結果が7.5%未満であっても、判定を行ったこと自体は記録しておくことが望ましいでしょう。閾値未満であれば基準活動量は変更されませんが、翌年度以降に超える可能性もあるため継続的な確認が重要です。

Q3 複数の事業活動がある場合はどう判定しますか

事業活動ごとに個別に判定します。あるBM事業活動で7.5%を超えても、別のGF事業活動では超えていない場合、前者のみ基準活動量が更新されます。GF対象事業活動の場合も、エネルギー起源・原材料起源・副生燃料起源それぞれの排出の起源ごとに個別判定します。

Q4 減少時にも更新は義務ですか

適用要件を満たす場合は義務として適用しなければなりません。活動量変動の調整は実態と合わせることを求める措置であり、増加時も減少時も同様に判定し対応する必要があります。なお燃料BMおよびGFエネルギー起源では、活動量減少時にエネルギー消費原単位が7.5%以上減少していることが証明できる場合には適用しないという例外がある点に留意してください(証明できない場合は適用する)。

Q5 災害や保安検査の影響を受けた場合は

届出年度の前年度に災害・感染症・保安検査(開放検査に限る)の影響を受けた場合、基準活動量(基準排出量)を更新せずに前年度の基準値を継続使用することができます(適用除外)。この場合、別途2.7に基づく事後調整(排出目標量から実績との差分を減じる調整)が必要となります。証憑として罹災証明書、特定非常災害指定政令、保安検査記録等を整備します。

活動量変動 まとめ

活動量変動の7.5%ルールは、BM方式対象事業活動およびGF対象事業活動(エネルギー起源・原材料起源・副生燃料起源すべて)の排出目標量を実態に合わせるための重要な調整措置です。事業活動ごとに毎年判定を行い、増加と減少の両方向で適用されます。燃料BMおよびGFエネルギー起源では、活動量変動に加えてエネルギー消費原単位の改善状況による追加判定があり、GFエネルギー起源ではさらに更新前後の割当量比較も求められます。災害等の影響を受けた場合は適用除外として基準値の継続使用が可能です。実態と合わせる義務がある点を正確に理解し、登録確認機関との確認に備えたデータ整備をSSPとして推奨します。

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この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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