環境省が公表した「調達におけるネイチャーポジティブに向けた実践ガイドライン」は、企業のサプライチェーン管理に新たな視点をもたらします。これは、従来のCSR調達に自然資本の観点を統合し、生物多様性の損失を止め、回復に向かわせるネイチャーポジティブの実現を調達実務から支える手引書です。本記事では、このガイドラインの要点を整理し、企業が取るべき具体的なアクションを解説します。全4章と別紙の指標一覧というガイドラインの実際の構成に沿って、対応水準A・Bの2区分で示される「基本事項」を中心に深く掘り下げます。

ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 要約
環境省が2026年7月に公表した「調達におけるネイチャーポジティブに向けた実践ガイドライン」は、調達におけるネイチャーポジティブ実践の「基本事項」をAとBの2区分で整理した手引書です。Aは事業者の責務として対応が必要な事項で、ガイドライン本文では「べきである」と記載されます。Bは先行対応を推奨する事項で、「望ましい」と記載されます。調達方針の策定からサプライチェーンのリスク抽出・評価、トレーサビリティの確保、サプライヤーエンゲージメント、情報開示まで、企業が最低限どこまで取り組むべきかの水準を示します。法的拘束力はなく任意に活用されることを意図していますが、取引先への確認・促進・要請を下流から上流へ数珠繋ぎのように波及させ、持続可能でネイチャーポジティブなサプライチェーンを構築することが期待されています。
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 背景
近年、気候変動と並ぶ深刻な地球環境問題として、生物多様性の損失が国際的な課題となっています。2022年に採択された昆明・モントリオール生物多様性枠組では、2030年までに生物多様性の損失を止め、反転させるというネイチャーポジティブが世界の共通目標となり、日本も「生物多様性国家戦略2023-2030」でその実現を掲げました。2024年3月には「ネイチャーポジティブ経済移行戦略」が策定され、2025年には「ネイチャーポジティブ経済移行戦略ロードマップ(2025-2030年)」が「調達におけるネイチャーポジティブ配慮の推進」を今後の方向性として位置付けました。世界経済フォーラムの試算では、世界の総付加価値額のうち世界の総GDPの半分以上にあたる44兆米ドルが自然資本に強く依存しているとされます。一方、日本は国外の自然資本への依存度が高く、企業にはトレーサビリティの不確実性や「どこまで取り組むべきか」という水準の不明瞭さが課題となっていました。本ガイドラインは、ネイチャーポジティブ経済研究会のもとに設置された「調達におけるネイチャーポジティブ配慮等に関するコアメンバー会議」での検討を経て、この課題に応えるために策定されたものです。
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 定義
株式会社サステナビリティスタンダードパートナーズは、ネイチャーポジティブ調達を次のように定義します。それは、企業が自社のサプライチェーン全体にわたり、事業活動が自然資本および生態系サービスに与える影響と依存関係を特定し、評価するプロセスです。そして、その評価結果に基づき、生物多様性への負の影響を停止および反転させ、自然の回復に積極的に貢献するための調達方針を策定し、実行することを指します。
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 基礎
ネイチャーポジティブ調達を理解するためには、いくつかの基礎知識が必要です。まず、ネイチャーポジティブとは、自然の損失を止め、回復へと向かわせるという目標です。次に、自然資本は、きれいな水や空気、肥沃な土壌など、人間社会に便益をもたらす自然のストックを指し、企業活動はこの自然資本から提供される生態系サービスに依存しています。サプライチェーンにおける自然関連リスクには、原材料の収量減少や調達不可といった物理的リスクと、土地利用規制の厳格化やEUDR等の政策・法規制の強化といった移行リスクが含まれます。一方で、自然配慮型製品の需要増加といった機会も存在します。本ガイドラインの核は、法令等に基づく遵守事項を前提とした上で、実践の基本事項を「A:事業者の責務として対応が必要」「B:先行対応を推奨」の2区分で整理した点です。企業は財務マテリアリティや自然資本へのインパクトを評価し、優先順位の高いコモディティから取組を進めます。重要コモディティの特定には、SBTNが公表するHigh Impact Commodity Listの活用等が考えられます。
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 結論
本ガイドラインが企業のサステナビリティ実務に与える影響は大きいと結論付けられます。これは、企業の調達部門に対し、従来の品質、コスト、納期に加えて、自然資本という新たな評価軸を本格的に導入することを求めるものです。検索意図として考えられる「このガイドラインが自社にどう関係し、何をすべきか」という問いに対して、SSPは「すべての企業がサプライチェーンにおける自然関連リスクの評価に着手し、調達方針を更新する必要がある」と結論します。ガイドライン自体に法的拘束力はありませんが、生物多様性基本法は企業に対し、事業活動が生物多様性に及ぼす影響の把握と低減に努める責務を定めており、特に農林水産業や資源採掘業など自然への依存度が高いセクターと取引のある企業は、早期の対応が不可欠です。将来的には、本ガイドラインの基本事項への対応が、取引継続の条件や企業価値評価の重要な要素となる可能性が高いと考えられます。
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 論点
ネイチャーポジティブ調達を実践する上での主要な論点を整理します。
| 論点 | 実務での重要度 | 判断のポイント | よくある誤解 | SSPの推奨スタンス |
|---|---|---|---|---|
| スコープの設定 | 高 | どこまでのサプライヤーを対象とするか。自社の影響が大きい領域を優先する。 | 全てのサプライヤーを一度に評価する必要がある。 | まずは主要な一次サプライヤーや、SBTNのHigh Impact Commodity List等を参考に自然への影響が大きい原材料から着手することを推奨します。 |
| データの収集と評価 | 高 | どのツールやデータベースを使用するか。ENCORE等を活用しマテリアリティ分析から始める。 | 最初から現地・現物データという精緻な1次情報がなければ評価できない。 | 2次情報である国別・材料別等の平均的データによる調査から開始し、影響が非常に大きい事業活動に絞って1次情報の把握へ進むアプローチを推奨します。 |
| サプライヤーとの連携 | 高 | どのようにサプライヤーを巻き込むか。エンゲージメントの方針を明確にする。 | 基本事項を満たさないサプライヤーは取引から外せばよい。 | ガイドラインは基準を満たさない中小企業等を排除せず、キャパシティビルディング等の支援を通じた段階的な改善を求めています。協力関係の構築が重要です。 |
| 目標設定とKPI | 中 | 何を目標とし、どう進捗を測るか。ガイドライン別紙の指標一覧を参考にする。 | 売上高などの財務指標だけがKPIである。 | トレーサビリティ確保率や、森林減少・転換ゼロと判定された商品の割合のような、具体的で測定可能な非財務目標の設定を推奨します。 |
| 情報開示 | 中 | どの範囲の情報を、どの枠組みで開示するか。TNFD中核開示指標やGRI等を踏まえた別紙指標との整合を意識する。 | ネガティブな情報は開示すべきではない。 | 透明性を確保するため、ポジティブな側面だけでなく、リスクや課題についても誠実に開示する姿勢が評価されます。 |
| 体制構築 | 高 | どの部署が主導し、どう全社的に取り組むか。調達、サステナビリティ、経営層の連携が鍵となる。 | サステナビリティ部門だけの仕事である。 | 経営層のリーダーシップとコミットメントのもと、コーポレート・商品企画・設計・営業・調達の各部門を巻き込んだ横断的な推進体制の構築を推奨します。 |
| 移行計画の策定 | 中 | 短期および中長期でどのように取り組みを進化させるか。ロードマップを策定する。 | 一度方針を決めれば変更は不要である。 | ガイドライン自体も状況変化に応じた改訂が予定されています。外部環境の変化や自社の学びに基づき、定期的に計画を見直す動的なプロセスの導入が重要です。 |
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 比較
従来のCSR調達と、本ガイドラインが示すネイチャーポジティブ調達の考え方を比較します。
| 項目 | 従来のCSR調達 | ネイチャーポジティブ調達 |
|---|---|---|
| 主要な関心領域 | 人権、労働環境、腐敗防止、環境汚染の防止など、負の影響の最小化が中心。 | 生物多様性の損失停止と回復、生態系サービスへの依存と影響の評価など、自然へのプラス貢献を含む。 |
| 評価の視点 | サプライヤーが法令や行動規範を遵守しているかのコンプライアンス視点が強い。 | サプライチェーン全体での自然関連リスクと機会の特定、事業インパクトの評価という戦略的視点。 |
| アプローチ | サプライヤーへのアンケート調査や監査が主な手法。問題発生時の是正措置に重点。 | A・Bの2区分で示された基本事項に基づき、事業活動マッピングからスクリーニング、2次情報・1次情報調査へと段階的にサプライチェーンの自然資本関連情報を把握する。 |
| 目標設定 | サプライヤーの評価スコア向上や、認証取得率の向上など。 | トレーサビリティ確保や持続可能な製品調達に関する目標・KPIを設定し、コミットメントを提示する。 |
| 情報開示 | CSR報告書やサステナビリティ報告書での定性的な活動報告が中心。 | TNFD中核開示指標やGRI等を踏まえたガイドライン別紙の指標一覧を参考にした、定量的データを含む体系的な情報開示が望ましいとされる。 |
| 企業内の連携 | 主に調達部門やサステナビリティ部門が担当。 | 経営層のリーダーシップの下、コーポレート・商品企画・設計・営業・調達部門を巻き込んだ全社的な取り組みが必要。 |
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 章解説
エグゼクティブサマリ、全4章、別紙という本ガイドラインの実際の構成に沿って、各章の要点と実務影響を解説します。
第1章 はじめに
何が求められるか。ガイドライン策定の背景と目的、調達におけるネイチャーポジティブ実践の重要性、あるべき姿と対象範囲・活用方法が示されます。対象は国内にとどまらずグローバルなサプライチェーン全体で、上流からB to C企業までを含みます。商社には取引の集約・標準化を通じた一括要求、サプライチェーン全体を管理する大企業には調達方針の明確な提示と優先順位付けによる改善促進、B to C企業には消費者への普及啓発による上流支援の役割が期待されています。
実務影響は何か。自社がサプライチェーン上の上流・直接操業・下流のどの立場にあっても対象となるため、自社の位置付けに応じた役割を認識する必要があります。
注意点は何か。本ガイドラインは任意に活用されることを意図しており法的拘束力はありませんが、今後の規制や取引基準の基礎となる可能性を認識すべきです。
第2章 企業経営に求められる視点と責任
何が求められるか。生物多様性基本法に基づき、企業には事業活動が生物多様性に及ぼす影響の把握と低減、持続可能な利用に努める責務があることが示されます。その上で、調達におけるネイチャーポジティブ配慮の経営的意義を「リスクの回避・軽減」と「機会の獲得」の両側面で整理し、経営層のリーダーシップとコミットメントの下での推進を求めています。
実務影響は何か。実践の第一歩として、コーポレート部門、商品企画・設計部門、営業部門、調達部門を巻き込んだ実効性の高い調達方針の策定と社内外への提示が求められます。調達方針を未策定の企業は、①ガイドラインの基本事項、②現場担当者のリスク認識、③機関投資家等の外部ステークホルダーからの要請を総合的に勘案して策定します。
注意点は何か。既に持続可能な調達ガイドライン等を策定済みの場合は、新規に作り直すのではなく、当該方針にネイチャーポジティブの観点を統合的に取り入れることも可能です。
第3章 調達におけるネイチャーポジティブ実践の基本事項
何が求められるか。本ガイドラインの核となる章です。基本事項を対応水準A・Bの2区分で整理した一覧、認証制度と基本事項の関係性、トレーサビリティ確保の考え方が示されます。基本事項はOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンスのプロセスに基づくカテゴリで整理され、水準区分は、回避・最小化を復元・再生より優先するSBTNのAR3Tアクション・フレームワークのミティゲーション・ヒエラルキーを踏まえて割り当てられています。
実務影響は何か。企業はこの基本事項一覧をインプットとして、自社の調達方針の点検やサプライヤーへのアンケート設計・運用を行うことになります。
注意点は何か。同じ基本事項でも、コモディティやマーケットによって位置付けが変わります。例えばEU域内で事業を行いEUDR対象コモディティを扱う場合、「自然資本の損失に寄与しないサプライヤーからの調達」は法令遵守事項となる一方、規制が厳格化していない国・地域の対象外コモディティでは、先行対応を推奨するBに区分され得ます。
第4章 おわりに/別紙 指標一覧
何が求められるか。第4章では、国際的な制度環境の変化を踏まえ、ガイドラインが今後必要に応じて改訂される予定であることが示されます。別紙には、TNFDのグローバル中核開示指標・セクター中核開示指標、GRI 101、EUDR等を踏まえた基本事項関連の指標例が一覧化されています。
実務影響は何か。目標・KPI設定や情報開示の際の指標選定において、別紙の指標一覧が実務上の出発点となります。指標は①自然に影響を与える活動であるインパクトドライバー、②自然への影響であるインパクト、③自然の状態や生態系サービスの変化、の3類型で考えられており、別紙は主として①に焦点を当てています。
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 重要点
本ガイドラインを実務に適用する上で、特に重要となるポイントを深掘りします。
基本事項A・Bの2区分と具体的な項目
事業者の責務として対応が必要なAに区分される基本事項は、「調達方針の策定」「目標・KPI設定及びコミットメントの提示」「サプライチェーン上のリスクの抽出・評価」「透明性・トレーサビリティの確保」「損失回避・軽減に向けた計画を策定済みのサプライヤーからの調達」「自然資本の損失に寄与しないサプライヤーからの調達」「取組の実施状況の把握」の7項目です。財務マテリアリティや自然資本へのインパクトを評価して優先順位の高いものから取組を進め、最終的には全コモディティを対象にすることが重要とされています。
先行対応を推奨するBには、「サプライヤーエンゲージメント方針・戦略の策定」「先住民の社会及び地域社会(IPLC)等に関する人権方針やエンゲージメント活動の説明」「自然資本の損失軽減」「自然資本の保全・回復・創出に積極的に取り組むサプライヤーからの調達」「取組の実施状況や自然の状態の定量測定」「情報開示」「消費者等への周知」が挙げられます。自然資本における重要度が高く、取引量の多いコモディティから優先順位を付けて取り組むことが望ましいとされています。
トレーサビリティ確保の考え方
サプライチェーンの自然資本関連情報の把握は、事業活動マッピング、自然への影響の度合いによるスクリーニング、国別・材料別等の平均的データやロケーションデータを指す2次情報の調査、原材料を取得している土地や採取方法等の現地・現物データを指す1次情報の調査、という流れをとります。全てのコモディティで最初から1次情報の把握を目指す必要はなく、ENCORE等を使用したマテリアリティ分析で影響が非常に大きいと判断された事業活動について、1次情報までの把握が推奨されます。
また、農場・圃場レベルでのトレーサビリティ確保が望ましいものの、パームのように複数の圃場の生産物が集荷場でまとめて管理され遡及が難しいコモディティもあります。そのため最低限の水準として、問題が発生した場合や発生の懸念がある場合に、課題の特定・解決が可能と判断できるところまで遡ることができる体制の整備が求められています。
認証制度との関係
FSC認証、RSPO認証、MSC認証等のコモディティ別認証制度は、認証基準の中にネイチャーポジティブ実践に関する内容を含んでいます。ただし、認証品の流通量が市場全体として十分でないこと、認証制度が存在しないコモディティがあること、マスバランス方式では認証農園等の生産物が流通過程で他の生産物と混合されることなどから、認証取得だけで十分とは言えない場合があります。EUDRのような近年の環境規制では、ロケーションデータの取得や現地検証などさらなる対応が求められるケースも増えています。認証ラベルの有無にかかわらず、基本事項に照らして実態を定期的に見直し、サプライヤーと協議・確認することが求められます。
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン 手順
企業がネイチャーポジティブ調達を導入するための実務フローを、ガイドラインの基本事項に沿った5つのステップで示します。
経営層のコミットメントの下での調達方針の策定。経営層のリーダーシップの下、コーポレート・商品企画・設計・営業・調達の各部門を巻き込み、実効性の高い調達方針を策定して社内外に示します。既存の調達方針がある場合はネイチャーポジティブの観点を統合します。
サプライチェーン上のリスクの抽出・評価。サプライチェーンマッピングやサプライヤーとの直接対話を通じてリスクを抽出・評価します。ENCORE等によるスクリーニングから始め、リソースに制約がある場合は財務マテリアリティの高いコモディティに絞って進めることも考えられます。
目標・KPI設定とコミットメントの提示。トレーサビリティ確保や持続可能な製品調達に関する目標・KPIを設定し、達成へのコミットメントを提示します。指標はガイドライン別紙の一覧が参考になります。例えば、森林減少・転換ゼロと判定された商品の割合や、農場・圃場レベルまでのトレーサビリティ確保率が挙げられています。
サプライヤーへの確認・エンゲージメント。基本事項をインプットとして取引先へのアンケートを設計・運用し、損失回避・軽減計画の策定状況等を確認します。基準を満たさない中小企業等は排除せず、キャパシティビルディング等の支援を実施しつつ段階的な改善を図ります。
取組の実施状況の把握と情報開示。A区分として、調達を通じた自然への影響と取組の実施状況を把握します。さらに可能な企業はB区分として、取組や自然の状態の定量測定、サステナビリティレポート等での情報開示、エコラベル等による消費者への周知に進みます。
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン FAQ
ネイチャーポジティブ調達に関するよくある質問にお答えします。
Q1 TNFDとの関係はどのようなものですか
本ガイドラインは、TNFDのLEAPアプローチのような特定の評価フレームワークの採用を求めるものではありません。一方で、別紙の指標一覧はTNFDのグローバル中核開示指標やセクター中核開示指標、GRI 101、EUDR等を踏まえて整理されており、ガイドラインに沿った取組で収集した情報は、TNFD提言に基づく開示の準備にも活用できます。
Q2 中小企業でも取り組む必要はありますか
はい、必要です。サプライチェーンの一員として、大企業から自然への配慮を求められるケースが増加することが予想されます。なお、ガイドラインは基本事項を満たさない中小企業等をサプライチェーンから排除するのではなく、モニタリング、エンゲージメント、キャパシティビルディングを通じて段階的な改善を図ることを期待しており、支援を受けながら取組を進めることが可能です。
Q3 どのようなツールを使えばよいですか
ガイドラインでは、コモディティ×影響タイプ別のマテリアリティ分析にENCORE等を使用することが求められると示されています。ENCOREの活用方法については、環境省のネイチャーポジティブ経営推進プラットフォームに解説資料が掲載されています。また、重要コモディティの特定にはSBTNのHigh Impact Commodity Listが参考になります。
Q4 評価に必要なデータはどこで入手できますか
まずは2次情報にあたる、原材料等と自然資本との一般的な関係に関する国別・材料別等の平均的データから始めます。ロケーションデータの粒度は国、地域、グリッド、農場・圃場など様々であり、影響が非常に大きい事業活動に絞って、1次情報にあたる現地・現物のより正確なデータの調査へ進みます。最初から完璧なデータを揃える必要はなく、段階的に精度を高めていくアプローチが現実的です。
Q5 気候変動対策との違いと関連性は何ですか
気候変動対策が主に温室効果ガスの排出量削減に焦点を当てるのに対し、ネイチャーポジティブは生物多様性、水、土地利用、生態系など、より広範な自然資本を対象とします。両者は密接に関連しており、ガイドラインも気候変動や資源循環、人権等の各種環境・社会課題に関するリスク・機会を統合的に認識・管理し、重大なトレードオフを回避することを重視しています。
Q6 第三者保証は必要になりますか
現時点では義務付けられていませんが、将来的には情報開示の信頼性を高めるために、データや取り組みのプロセスに対して第三者保証を求める動きが強まる可能性があります。特に、投資家などのステークホルダーに対する説明責任を果たす上で、客観的な評価の重要性は増していくと考えられます。
ネイチャーポジティブ調達ガイドライン まとめ
環境省の「調達におけるネイチャーポジティブに向けた実践ガイドライン」は、企業がCSR調達を次の段階へ進めるための重要な道標です。対応水準A・Bの2区分で示された基本事項は、「調達において最低限どこまで実践すればよいか」という長年の課題に対する具体的な回答であり、これからの企業には、サプライチェーンにおける自然との関わりを深く理解し、負の影響を減らすだけでなく、自然の回復に貢献する積極的な姿勢が求められます。これは単なる環境保護活動ではなく、事業継続性を確保し、新たな企業価値を創造するための経営戦略そのものです。株式会社サステナビリティスタンダードパートナーズは、企業がこの新たな挑戦に対応できるよう、信頼性の高い第三者保証サービスを通じて支援してまいります。
参考リンク
https://www.env.go.jp/press/press_05290.html
https://www.env.go.jp/content/000415348.pdf


