【GX-ETS】 確認報告書の4つの結論と判断基準を解説

GX-ETSの登録確認機関は、排出目標量と排出実績量に対してそれぞれ4種類の結論のいずれかを表明します。無限定の結論、限定付結論、否定的結論、結論不表明の4つであり、それぞれ異なる判断基準と実務的な意味を持ちます。本記事ではSSPの実務経験に基づき、4つの結論の違いと企業が理解すべきポイントを整理します。

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目次

確認報告書 要約

GX-ETSの確認報告書には、登録確認機関が表明する4種類の結論が定められています。無限定の結論は重要な虚偽表示が認められない場合に表明され、最も望ましい結果です。限定付結論は重要だが広範でない除外事項がある場合、否定的結論は重要かつ広範な虚偽表示が認められた場合、結論不表明は業務範囲に重要かつ広範な制約がある場合にそれぞれ適用されます。制度対象者は無限定の結論を得られるよう適切な準備を行うことが重要です。

確認報告書 背景

確認報告書における4種類の結論体系は、財務諸表監査における監査意見の枠組みを参考に設計されたものです。ISO 14064-3やISSA 5000においても、保証業務の結論は同様の区分が設けられています。

GXリーグの試行フェーズでは、検証結果の表現形式が必ずしも統一されていませんでした。第2フェーズへの移行にあたり、国際基準に沿った4類型を明確に定義することで、確認の結果が持つ意味を制度対象者、規制当局、市場参加者の間で共通に理解できる枠組みが整備されたのです。

この4類型の採用は、制度の透明性と信頼性を高めるうえで大きな役割を果たすことが期待されています。各結論がどのような状況で表明されるかを正確に理解しておくことは、制度対応の実務において不可欠な知識となるでしょう。

確認報告書 定義

SSPでは4種類の結論を次のように定義しています。

無限定の結論とは、入手した証拠に基づき排出目標量または排出実績量に重要な虚偽表示が認められる事項が認められなかったと表明するものです。

限定付結論とは、特定の事項を除き重要な虚偽表示が認められなかったと表明するものであり、除外事項は重要であるが広範ではないと判断されたものに限られます。

否定的結論とは、排出目標量または排出実績量に重要かつ広範な虚偽表示が認められたと表明するものです。

結論不表明とは、業務範囲に重要かつ広範な制約があり結論の基礎となる十分な証拠を入手できなかったため結論を表明しないとするものを指します。

確認報告書 結論

確認報告書の4つの結論について企業が押さえるべきポイントは以下の3点に集約されます。

第一に、無限定の結論を得ることが制度対応の基本目標です。限定付や否定的結論に至った場合、是正と再確認に追加の時間とコストが発生し、届出期限への影響が避けられません。

第二に、「重要かつ広範」という判断基準が結論の区分を決定づける点を理解すべきです。虚偽表示が重要だが広範でなければ限定付結論にとどまりますが、重要かつ広範であれば否定的結論となります。この境界を左右する要素として、虚偽表示が影響する勘定や項目の範囲が挙げられます。

第三に、結論不表明は確認機関側の判断であり、制度対象者の協力不足や書類不備が原因となる場合が多い点に注意が必要です。確認に必要な情報と書類を適時に提供できる体制を整えておくことで、このリスクは大幅に低減できるでしょう。

確認報告書 論点

確認報告書に関する主要な論点を以下に整理しました。

論点カテゴリどの領域で重要度判断のポイント
無限定の結論の意味結論類型制度対応の目標全ての重要な点で問題がないことを示す最も望ましい結果
重要かつ広範の判断基準結論区分限定付vs否定的の判定虚偽表示の影響範囲と金額規模で判定が分かれる
結論不表明の原因業務制約書類・情報提供体制書類不備や情報提供の拒否が主因となる場合が多い
確認報告書の必須記載事項報告書形式報告書の構成9項目の記載が求められ様式に沿った報告が必要
是正要求への対応期限是正プロセス届出スケジュール是正と再確認の期間を確保できるか否かが鍵となる
訂正時の再確認追加手続訂正後の対応訂正箇所に限定した追加手続が実施される場合がある

確認報告書 比較

4種類の結論を体系的に比較します。

比較項目無限定の結論限定付結論否定的結論結論不表明
表明内容重要な虚偽表示なし除外事項を除き虚偽表示なし重要かつ広範な虚偽表示あり結論を表明しない
虚偽表示の性質基準値以内重要だが広範でない重要かつ広範判断不能
届出への影響そのまま届出可能是正後に再確認が望ましい是正と再確認が必須書類整備後に再確認が必要
発生頻度(想定)最も多い一定数発生し得る稀だが起こり得る極めて稀
企業への示唆算定体制が適切に機能特定領域の改善が必要算定体制の抜本的見直し確認への協力体制の再構築

確認報告書 重要点

確認報告書に関して特に重要な2つのテーマを以下で解説します。

是正要求への対応

登録確認機関が確認手続の過程で虚偽表示を識別した場合、制度対象者に是正を求めることがあります。是正要求は確認業務の通常のプロセスの一部であり、必ずしも深刻な問題を意味するわけではありません。

重要なのは、是正要求に対して迅速かつ適切に対応することです。是正が完了すれば無限定の結論が表明される可能性が高まります。一方で、是正に応じない場合や対応が不十分な場合には、未訂正の虚偽表示として累積され、結論に影響を及ぼすことになるでしょう。

是正に要する期間を見込んで早期に確認を開始することが、無限定の結論を得るための実務上の鍵となります。

訂正時の確認手続

制度対象者が排出目標量や排出実績量を訂正した場合、登録確認機関は訂正箇所について追加的な確認手続を実施します。訂正が局所的であれば追加手続の範囲も限定されるのが通常の対応方針です。

ただし訂正の原因が体系的な算定エラーに起因する場合、影響範囲が広がる可能性があるため、登録確認機関は訂正箇所以外にも手続を拡大することがあります。訂正を行う際には、その原因と影響範囲を自ら把握したうえで確認機関に伝達することで、追加手続の効率化が図れるでしょう。

確認報告書 手順

確認報告書の結論が形成される過程を以下のステップで説明します。

ステップ1 確認手続の実施と証拠の収集

登録確認機関は限定的保証の水準に基づき、質問、分析的手続、閲覧等を実施して証拠を収集します。

ステップ2 虚偽表示の識別と集計

手続を通じて識別された虚偽表示を一覧化し、量的・質的の両面から重要性を評価します。

ステップ3 制度対象者への是正要求

重要な虚偽表示が識別された場合、制度対象者に是正を求めます。是正が完了した事項は未訂正の虚偽表示から除外される仕組みです。

ステップ4 未訂正虚偽表示の最終評価

是正後に残った未訂正の虚偽表示について、個別および集計ベースで重要性の基準値と比較し、結論への影響を判断します。

ステップ5 結論の決定

未訂正の虚偽表示と業務範囲の制約を総合的に評価し、4種類の結論のいずれかを決定します。重要かつ広範であるかどうかが結論の区分を決める基準となります。

ステップ6 確認報告書の作成と発行

決定した結論を含む確認報告書を9項目の必須記載事項に沿って作成し、制度対象者に交付します。制度対象者はこの報告書を届出書類に添付することになります。

確認報告書 FAQ

Q1 無限定の結論を得るために企業は何をすべきですか

正確な算定体制の整備、十分な裏付証憑の保管、そして確認機関への適時の情報提供が基本となります。日頃から算定プロセスのチェック体制を構築し、虚偽表示の発生を未然に防ぐ取り組みが最も有効な対策です。

Q2 限定付結論が出た場合、届出は認められますか

制度上の取扱いは今後の運用指針で明確化される見込みですが、限定付結論の場合でも届出自体は可能とされる方向です。ただし除外事項の内容によっては是正のうえ再確認を受けることが望ましい場合もあるでしょう。

Q3 確認報告書の必須記載事項とは何ですか

確認報告書には、宛先、対象となる排出量情報、適用した基準、確認機関の責任と制度対象者の責任、実施した手続の概要、結論、日付、確認機関の名称と署名の9項目が記載される必要があります。

Q4 否定的結論を回避するにはどうすればよいですか

否定的結論は重要かつ広範な虚偽表示がある場合に表明されるため、算定体制の根本的な正確性を確保することが最優先です。加えて、確認の過程で是正要求があった場合に速やかに対応できる体制を整えておくことが重要となります。

Q5 結論不表明はどのような場合に起こりますか

主に制度対象者が確認に必要な情報や書類を提供しない場合、または現地往査への協力が得られない場合に生じます。確認機関が結論の基礎となる十分な証拠を入手できない状況が発生すると、結論を表明すること自体ができなくなるのです。

確認報告書 全体像

確認報告書の4つの結論は、GX-ETSにおける排出データの信頼性を担保する枠組みの核心的な要素です。無限定の結論は制度対象者にとって最も望ましい結果であり、正確な算定と適切な書類整備によって到達可能な目標といえます。

限定付結論や否定的結論に至るケースでは、是正と再確認のプロセスが発生し、追加的な時間とコストの負担が避けられません。結論不表明については確認への協力体制を整えることで防止が可能です。

確認報告書の結論は制度対象者の排出データに対する第三者の評価を示すものであり、制度の信頼性と市場参加者間の公正性を支える基盤として機能しています。

確認報告書 まとめ

GX-ETSの確認報告書には無限定の結論、限定付結論、否定的結論、結論不表明の4種類が定められており、それぞれの判断基準と実務的な意味は明確に区分されています。企業は無限定の結論を得ることを目標に、正確な算定体制と確認機関への適切な協力体制を構築すべきです。

是正要求への迅速な対応と、訂正時の再確認手続への理解も不可欠な要素となります。確認報告書の4類型を正しく理解し、届出スケジュールに余裕を持った確認業務の計画を立てることが、制度対応を円滑に進める鍵となるでしょう。

この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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