【GX-ETS】 登録確認機関の確認業務とは

GX-ETS第2フェーズでは、排出目標量と排出実績量の双方について登録確認機関による第三者確認が義務づけられています。確認はISO 14064-3またはISSA 5000等に基づく限定的保証の水準で実施され、早期排出削減量にはAUPが適用されます。本記事ではSSPの実務経験に基づき、確認業務の全体像と企業が知るべき要点を整理します。

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目次

登録確認機関 要約

GX-ETSの登録確認機関は、経済産業大臣の登録を受けた第三者機関であり、制度対象者が届け出る排出目標量および排出実績量の信頼性を限定的保証の水準で確認する役割を担っています。2026年度からの第2フェーズでは確認が法的義務となり、ISO 14064-3やISSA 5000等の国際基準に準拠した手続が適用されます。企業は確認機関の早期選定と必要書類の準備を進めることが不可欠です。

登録確認機関 背景

GXリーグの試行フェーズにおける排出量の検証は、GXリーグ事務局が主体となって運営されてきました。しかし制度の法定化に伴い、確認業務は経済産業大臣に登録された第三者機関へと移管されることになります。

この移管には重要な背景があります。まず、国際的に認められた保証基準であるISO 14064-3およびISSA 5000等を採用することで、GX-ETSの排出データに対する市場の信頼性を高める狙いがあります。加えて、二重責任の原則を明確に適用することで、制度対象者と確認機関の責任範囲を制度上明確にする意図も含まれているのです。

二重責任の原則とは、排出目標量および排出実績量の算定・報告に関する責任は制度対象者が負い、その確認に関する責任は登録確認機関が負うという考え方を指します。この原則に基づき、登録確認機関が確認意見を表明したとしても、原データの正確性に関する責任が制度対象者から移転することはありません。

登録確認機関 定義

SSPでは、登録確認機関を次のように定義しています。

登録確認機関とは、GX推進法に基づき経済産業大臣の登録を受けた第三者機関であり、制度対象者が届け出る排出目標量および排出実績量について、限定的保証の水準で独立した確認業務を行う機関を指します。

ここでいう「限定的保証」とは、確認業務において入手した証拠に基づき、主に質問と分析的手続を通じて結論を形成する保証水準を意味します。合理的保証と比較すると手続の範囲は限定されますが、制度運営に必要な信頼性を効率的に確保できる仕組みとして位置づけられています。

登録確認機関 結論

登録確認機関の確認業務について、企業が特に押さえておくべき重要なポイントは以下の3点に集約されます。

第一に、確認機関の早期契約が不可欠である点です。届出期限の9月30日から逆算すると、確認業務に十分な期間を確保するためには4月から5月の時点で機関選定と契約を完了しておく必要があります。制度開始直後は登録確認機関の数も限られるため、対応の遅れはリスクとなるでしょう。

第二に、確認対象の範囲を正確に理解することが求められます。排出目標量と排出実績量は確認対象ですが、カーボンリーケージやR&D投資に係る勘案事項は確認対象に含まれません。この範囲の違いを把握したうえで準備を行うことが重要となります。

第三に、限定的保証と合理的保証の違いを理解しておくべきです。GX-ETSでは限定的保証が採用されており、消極的形式の結論が表明されます。将来的に合理的保証へ移行する可能性も示唆されているため、両者の違いを認識しておくことが望ましいといえます。

登録確認機関 論点

登録確認機関に関する主要な論点を以下の表に整理しました。

論点どの領域で重要度判断のポイント
確認の水準(限定的保証)確認業務全体消極的形式の結論であり合理的保証よりも手続範囲が限定される点を理解する
確認対象の範囲(目標量と実績量)届出書類の準備排出目標量と排出実績量の双方が対象となるが勘案事項は対象外
勘案事項が対象外カーボンリーケージ・R&D調整量は確認を経ずに届け出る仕組みである点に留意が必要
早期削減のAUP早期排出削減量AUPは結論を表明しない手続であり限定的保証とは性質が異なる
確認機関の選定時期業務スケジュール4月から5月までの契約完了が望ましく遅延は届出期限に影響する
確認報告書の4種類結論の判断無限定・限定付・否定的・不表明の4種類と各々の影響を把握する
確認業務の流れ実務プロセス機関選定から報告書発行まで一連の手続を計画的に進める

登録確認機関 比較

限定的保証と合理的保証の主要な違いを以下に示します。

比較項目限定的保証合理的保証
確認業務リスク合理的保証より高い水準のリスクを許容許容可能な低い水準までリスクを低減
手続の範囲質問と分析的手続が中心で範囲は限定的内部統制の評価を含む広範な手続を実施
結論の形式消極的形式(〜認められなかった)積極的形式(〜と認める)
証拠入手方法質問・分析的手続・閲覧等が主体詳細テスト・実地検証・確認状送付等を含む
手続の種類限定された種類の手続を適用多様かつ広範な手続を組み合わせて適用
コスト合理的保証と比較して相対的に低い限定的保証と比較して相対的に高い
GX-ETSでの採用第2フェーズで採用(現行制度)現時点では採用されていない

登録確認機関 ナビゲーション

本クラスターは4つの記事で構成されています。各記事では確認業務の個別テーマを掘り下げて解説しています。

・記事1「GX-ETSの限定的保証とは」では、限定的保証の水準と合理的保証との違い、量的・質的重要性の考え方を詳しく説明しています。

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登録確認機関 手順

確認業務は概ね以下のステップで進行します。

ステップ1 確認機関の選定と契約

届出期限から逆算して十分な期間を確保できるよう、4月から5月を目安に登録確認機関を選定し契約を締結します。業種への理解や実績を基準に選ぶことが望ましいでしょう。

ステップ2 確認業務の概要把握

登録確認機関は制度対象者の事業概要、組織構造、排出源の種類と規模、モニタリング体制等を把握します。この段階で確認計画の策定に必要な情報を収集するのが一般的な流れとなっています。

ステップ3 リスク評価の実施

概要把握の結果を踏まえ、排出目標量・排出実績量における虚偽表示リスクを評価します。固有リスクと統制リスクの組み合わせに基づいて手続の性質・範囲・時期を決定します。

ステップ4 確認手続の実施

限定的保証の水準に基づき、質問、分析的手続、閲覧等を中心とした手続を実施します。必要に応じて現地往査も行われ、裏付証憑の直接閲覧や算定担当者への質問が行われます。

ステップ5 虚偽表示の集計と評価

手続を通じて識別された虚偽表示を集計し、未訂正の虚偽表示が重要性の基準値を超えるかどうかを評価します。制度対象者に是正を求める場合もあります。

ステップ6 結論の形成

入手した証拠を総合的に評価し、排出目標量または排出実績量に重要な虚偽表示がないかどうかについて結論を形成します。結論は無限定、限定付、否定的、不表明の4種類のいずれかになります。

ステップ7 確認報告書の発行

形成した結論を確認報告書としてとりまとめ、制度対象者に交付します。制度対象者はこの確認報告書を添えて経済産業大臣に届出を行うことになります。

登録確認機関 FAQ

確認業務に関してよく寄せられる質問とその回答を以下に示します。

Q1 確認は年に何回必要ですか

排出目標量の届出前と排出実績量の報告前の年2回の確認機会があります。ただし2026年度は初年度特例で排出目標量の届出が猶予されるため、実質的なスケジュールは異なります。

Q2 勘案事項による調整量は確認対象ですか

確認対象外です。カーボンリーケージとR&D投資の調整量は登録確認機関の確認を受けずに届け出る仕組みとなっています。

Q3 GXリーグ時代の検証機関はそのまま使えますか

登録確認機関として経済産業大臣の登録を受けている場合に限り利用可能です。登録を受けていない場合は新たに登録確認機関と契約する必要があります。

Q4 確認業務にはどの程度の期間がかかりますか

制度対象者の規模や複雑性、排出源の数などによって大きく異なります。一般的には概要把握からの報告書発行まで数週間から数ヶ月を要するため、7月から8月には確認を完了できるスケジュールで準備を進めることが望ましいでしょう。

Q5 否定的結論が出た場合はどうなりますか

否定的結論は、排出目標量または排出実績量に重要かつ広範な虚偽表示が認められた場合に表明されます。この場合、是正を行ったうえで再度確認を受ける必要があり、届出期限に間に合わないリスクが生じます。

Q6 確認機関はいつまでに選定すべきですか

届出期限の9月30日から逆算し、確認業務に十分な期間を確保できるよう4月から5月には選定と契約を完了しておくことをSSPとして推奨します。

登録確認機関 まとめ

GX-ETS第2フェーズにおける登録確認機関の確認業務は、制度対象者にとって避けて通れない重要な手続です。限定的保証の水準で実施される確認は、排出目標量と排出実績量の双方を対象とし、ISO 14064-3やISSA 5000等の国際基準に準拠して行われます。

企業が円滑に確認を受けるためには、まず確認機関の早期選定と契約が不可欠です。加えて、確認対象の範囲を正しく理解し、必要書類を計画的に整備しておくことが求められます。確認報告書の4種類の結論と、早期排出削減量に対するAUPの位置づけについても事前に把握しておくとよいでしょう。

制度開始当初は登録確認機関の数が限られることが予想されるため、早い段階からの準備が制度対応の成否を左右することになります。

この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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