航空業界は、ジェット燃料の燃焼によるCO2排出が大部分を占めるセクターです。国内の温対法に基づく報告に加え、国際民間航空機関が運用するCORSIA制度への対応も求められるため、二元的な管理体制の構築が必要となります。

航空業界 背景
航空機燃料の燃焼排出
1 温対法対応:エネルギー含有量36.3 GJ/kL、炭素排出係数0.0186 tC/GJを用い、kL単位で報告します。
2 CORSIA対応:kg単位での報告が求められ、ジェットA燃料には3.16 kgCO2/kg、Avガスには3.10 kgCO2/kgを適用します。
3 補助動力装置(APU)の燃料消費も包括的な管理フレームワークに含めます。
CORSIAは国際線のみが対象でカレンダー年(1月~12月)単位、温対法は国内線も含み会計年度(4月~3月)単位となるため、期間帰属と燃料分離の明確化が必須です。
地上設備とその他の排出源
スコープ1排出源:地上支援機器(GSE)、地上電源装置(GPU)、ターミナルビルのHVACシステム。
プロセス・その他排出:除氷用液、潤滑油(2.7 tCO2/kL)、ドライアイス、火災消火システムのHFC冷媒。
特にGSEは運用主体が複数企業にまたがる場合が多く、支配基準(施設、人事、経営)に基づき報告範囲を判定する必要があります。
航空業界 重要点
燃料計量における密度補正の重要性
1 給油施設におけるタンク計測値(体積)と同時刻の燃料温度を記録します。
2 基準状態(15℃)での密度係数表を用いて、実測温度での体積を換算します。
3 計算式:補正後体積 = 実測体積 × (密度係数15℃ / 密度係数実測温度)
このプロセスにより、季節変動の影響を排除した統一的な燃料量把握が可能となります。手入力による誤りを防ぐため、自動換算機能を持つメーターの校正と精度管理が重要です。
ベンチマークとScope 1の管理範囲の差異
GX-ETSのベンチマークは航空機燃料のみ(対象率100%)ですが、温対法のScope 1検証では以下のベンチマーク外項目に注意が必要です。
潤滑油、ドライアイス
HFC冷媒(GWP 1,300)、SF6ガス(GWP 23,500)
全社のHFC含有機器(冷却装置、冷蔵庫等)の台帳を整備し、メーカー、型番、冷媒種別、充填量を記録するとともに、3年間の記録保持義務を遵守します。
航空業界 まとめ
航空業界における温室効果ガス管理は、温対法およびCORSIA制度という二つの報告制度への対応を同時に実施する必要があり、これが管理の複雑さを増している要因です。燃料計量における密度補正、ベンチマーク対象外の排出源の把握、部門間の情報連携強化が実務上の最重要課題となります。
参考情報
・国土交通省「航空分野の環境対策」
・ICAO「CORSIA制度ガイドライン」
・環境省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」


