陸運業は、トラックやバスなど車両燃料の燃焼に伴うCO2排出が中心となる業種ですが、冷凍車の冷媒管理、尿素水由来のプロセスCO2、固定施設の排出など、想定以上に多様な排出源への対応が求められます。

陸運業 背景
車両燃料の燃焼排出
各種車両の燃料種別に応じた排出係数を適用します。
ディーゼル:38.0 GJ/kL(0.0188 tC/GJ)
ガソリン:33.4 GJ/kL(0.0187 tC/GJ)
LPガス:50.1 GJ/t(0.0163 tC/GJ)
算定精度向上のため、燃料購入法、給油量法、走行距離法の整合性を確保します。GPS走行管理システム等の生データを活用し、実績燃費に基づく補正係数の適用が推奨されます。
冷凍車と固定施設の排出管理
1 冷凍車(TRU):主エンジンとは独立した冷却装置の燃料消費を別途追跡します。
2 固定施設:営業所の事務所ビル、ボイラー、給湯器、非常用発電機、廃棄物焼却施設。
TRU管理ではユニット台帳を整備し、運用時間(冷房運転時間)と実績燃費率から算出するか、月次の燃料消費実績を直接計測します。
陸運業 重要点
尿素水によるプロセスCO2排出
SCRシステム搭載車で使用される尿素水(AdBlue)は、加水分解によりCO2を発生させます。
1 車両ごとの尿素水消費量を、フリート全体の購買実績ベースで推計します(約0.5 kg CO2/L相当)。
2 企業全体の購買実績から算出した平均消費係数と営業運転日数を組み合わせ、期間帰属の排出量を推計します。
尿素水は補助化学品として扱われがちですが、温対法の対象に含まれるべき項目であることを周知する必要があります。
冷媒管理とドライアイスの取扱い
冷媒(HFC):冷凍ユニットの台帳を整備し、冷媒種別、充填量を記録します。整備業者から冷媒証明書を取得し、フロン排出抑制法に基づき3年間保存します。
ドライアイス・CO2ガス:冷却用に使用される物量を把握します。
会計年度(4月〜3月)と冷媒等の取扱時期(カレンダー年)のズレに留意し、証明書情報をデータベース化して集計します。
陸運業 まとめ
陸運業における排出量管理は、車両燃料に加えて、TRU(冷凍車)、尿素水、冷媒・ドライアイスの管理が不可欠です。これらの項目が見落とされると、GX-ETS報告値に大きな誤差が生じる可能性があります。各項目を網羅した管理体制の構築が重要です。
参考情報
・国土交通省「物流分野の環境対策」
・環境省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」
・経済産業省「GX-ETS制度概要」


