GX-ETS 化学-ゴム製品製造の直接排出量管理

ゴム製品製造業は、加硫工程における熱エネルギー使用に加え、VOC処理設備や排水処理に伴う排出など多岐にわたるGHG排出源を有する業種です。GX-ETS制度への対応においては、燃焼排出以外の多様な排出源を網羅的に把握することが求められます。本記事では、ゴム製品製造業の排出量管理の基礎について解説します。

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目次

ゴム製品製造 背景

主要な燃焼排出源と工程の特徴

1 蒸気ボイラー(最大の排出源):加硫工程で140~200℃の大量の蒸気を使用し、燃料消費が年間を通じて安定しています。

2 複数の燃焼排出源:熱油炉、乾燥窯、コージェネレーション設備など各々のエネルギー消費量の把握が重要です。

3 移動燃焼排出:フォークリフト、運搬車両、クレーンなどの構内車両の軽油使用。特にディーゼル重機械は正確な計量が必要です。

4 緊急時発電機:ガソリン使用について、年間の運転記録から排出量を推定し、GHGインベントリに組み込みます。

製造プロセスの多様性により、工場ごと、ラインごとに排出源の構成が異なる場合があります。全排出源を網羅したマップを作成し、定期的に設備変更時の更新を実施することが基本的な対応策となります。

見落とされやすい排出源の特定

1 VOC処理設備(蓄熱式燃焼炉やカタリティック酸化炉):環境対策設備として扱われがちですが、燃料燃焼によるCO2排出は直接排出(Scope 1)に分類されます。

2 排水処理設備:無酸素ゾーンを含む場合、排出係数0.0000025 tCH4/kgBODに基づくCH4排出が発生する可能性があります。

3 ドライアイスの使用:気化時にCO2を放出するため、購入量に基づく排出量計上が必要です。

4 廃棄物燃焼:廃タイヤ(1.64 tCO2/t)、廃プラスチック(2.56 tCO2/t)、廃油(2.93 tCO2/t)、NMVOC燃焼(2.35 tCO2/t)などが対象です。

ゴム製品製造 重要点

廃棄物燃焼に伴う排出係数の適用

ゴム製品製造工程で発生する廃棄物の多くは焼却処理されており、各廃棄物種別に異なるCO2排出係数が適用されます。廃タイヤは1.64 tCO2/tであり、廃プラスチック(2.56 tCO2/t)や廃油(2.93 tCO2/t)と比較しても排出係数が異なります。また、揮発性有機化合物(NMVOC)の燃焼では2.35 tCO2/tが適用されます。

1 廃棄物の分類を、含有率に基づいて廃タイヤか廃プラスチックかを判断し、正確に実施します。

2 受け入れ検査時の廃棄物分類記録を整備し、焼却処理施設への引き渡し記録と照合します。

3 年間焼却量の集計値に排出係数を乗じて算定し、月次または四半期ごとの記録を集約します。

焼却炉の保守記録や廃棄物処理業者との契約書、処理報告書をアーカイブしておくことで、検証対応の信頼性が大幅に向上します。

排水処理由来のCH4とN2O算定

排水処理設備からのCH4排出量はBOD負荷に基づいて算定されます。ゴム製品製造業の排水処理に適用される係数はCH4 0.0000025 tCH4/kgBODです。BOD濃度測定値と処理水量の記録から、年間のBOD処理量を把握し、この係数を乗じてCH4排出量を算定します。

N2O排出量も同様にプロセス負荷に基づいて算定されます。ゴム製品製造業に適用される係数はN2O 0.000014 tN2O/tN(窒素)です。排水中の窒素含有量を測定し、処理量との積によってN2O排出量を算定する必要があります。N2OのGWPは265であり、窒素負荷が大きい場合は総温暖化係数への寄与が無視できなくなる場合があります。

排水処理の運転記録(BOD濃度、流量、処理温度)を月次で整備することが重要です。第三者検証では、BODおよび窒素測定の信頼性(測定機関の認定状況、測定周期)が厳格に評価されます。

ゴム製品製造 手順

部門横断的な排出源管理体制の構築

1 環境対策部門(VOC・排水)、設備管理部門(ボイラー)、生産部門(廃棄物)、調達部門(燃料・委託記録)から情報を統合的に収集します。

2 定期的なGHG排出源リスト見直し会議を開催し、各部門の責任者が新たな排出源や削減機会を報告する仕組みを制度化します。

3 新規設備導入時には、環境部門による排出源評価を組み込むプロセスを確立します。

4 複数の部門で管理されている設備台帳を定期的に照合し、GHG排出源リストとの整合性(廃止・新設の有無)を確認します。

年1回の設備台帳整合確認をスケジュール化し、責任者を明確にしておくことが実効性の確保につながります。

ゴム製品製造 まとめ

ゴム製品製造業のGHG排出量管理は、多様な排出源の網羅性確保と、各排出源に適用される固有の排出係数の正確な理解が鍵となります。本記事で解説した排出源の把握と算定のポイントを基に、自社の設備構成や工程特性に合わせた排出量管理体制を構築することが、GX-ETS制度への効果的な対応と継続的な排出削減の基盤となります。詳細な技術資料をダウンロードいただき、御社の環境管理体制の高度化にご活用ください。

参考情報

・環境省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」
・経済産業省「GX-ETS制度概要」
・日本ゴム工業会「業界資料・統計」

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この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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