有機化学品製造業は、多種多様な化学反応を伴うプロセスにより、CO2、CH4、N2Oなど複数種類の温室効果ガスを排出する業種です。GX-ETSの対象となる有機化学品メーカーは、それぞれの製造プロセスに応じた排出源の特定と適切な算定手法の適用が求められており、これは事業競争力にも影響する重要課題です。

有機化学品製造 背景
燃焼排出とプロセス排出の多様性への対応
有機化学品製造では、加熱炉、ボイラー、コージェネレーション設備のほか、触媒再生炉のような特有の設備が存在します。
触媒再生炉(FCC関連)
触媒表面のコーク成分燃焼時に発生するCO2を独立した排出源として管理します。
分離工程
アンモニアやエチレン製造における独立したCO2排出源を正確に把握します。
燃料バランスの閉鎖
燃料ガスヘッダーを基軸に、供給・燃焼・販売・漏えい量を月次で体系的に記録し、整合性を検証します。
これにより、隠れた排出源や計測誤差を早期に発見し、自動計測システムの導入などでデータ品質を継続的に改善することが可能となります。
N2O排出の管理と温暖化係数への対応
硝酸製造やアジピン酸製造では、N2Oが副生成物として発生します。
N2Oの地球温暖化係数は265と極めて高いため、少量の排出でも総排出量に甚大な影響を及ぼします。
係数の重要性
N2O 1トンの排出はCO2 265トンに相当します。
効率検証
削減装置の作動効率を正確に把握し、年1回以上の検証結果に基づいて係数を更新します。
監視体制
触媒活性低下に伴う除去効率の低下を早期に発見する体制を構築します。
有機化学品製造 重要点
原料と燃料の区分管理と二重計上防止メカニズム
炭化水素系原料がプロセス反応を通じてCO2に変換される場合、その区分を明確にする必要があります。
1.「原料由来のプロセスCO2」と「燃料消費によるCO2」の算定方針をあらかじめ文書化し、社内での統一運用を確保します。
2.発酵プロセス等の原料由来CO2を燃料燃焼分と混同しないよう厳密に区分します。
3.CO2の回収・販売がある場合、流量計測値、出荷量記録、取引契約書の3点確認により妥当性を検証します。
このような管理により算定信頼性が向上し、複数の独立した監視方法を組み合わせることでさらなる向上が期待できます。
燃料ガスヘッダーの統合管理と物量バランス確認
複数の排出源に共給される燃料ガスヘッダーは、計測の最重要ポイントです。
物量等式
総供給量 = 燃焼量 + 漏えい量 + 販売量 という等式が毎月成立することを確認します。
計測器の管理
年1回以上の校正を実施し、校正成績書を維持します。
差分分析
等式が成立しない場合の原因(計測器不具合、漏えい等)を早期に究明します。
有機化学品製造 手順
GX-ETS対応と継続的な改善体制
算定フレームワークの構築
自社のプロセス特性に応じた識別・区分ルールを早期に構築します。
部門間連携の強化
環境、生産、設備部門が密接に連携し、すべての温室効果ガスを網羅する体制を整備します。
優先順位の是正
燃焼排出だけでなく、プロセスCO2や高GWPガスのN2O管理を同等に強化します。
定期的な検証の実施
内部監査や第三者検証を通じて、管理体制のバランスと正確性を継続的に向上させます。
参考情報
・環境省「温室効果ガス排出量算定・報告マニュアル」
・石油化学工業協会「環境報告」
・経済産業省「GX-ETS制度設計資料」


