【GX-ETS】 スケジュール 届出から償却までの流れを解説

GX-ETS第2フェーズでは、届出、排出枠の割当て、排出実績量の報告、保有義務の履行、償却という一連のステップを毎年度繰り返すこととなります。2026年度は制度開始初年度の特例スケジュールが適用され、排出目標量の届出が1年間猶予される点に留意が必要です。本記事ではSSPの実務経験に基づき、年間の手続きの流れと各期限を体系的に整理します。

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目次

GX-ETSスケジュール 要約

GX-ETS第2フェーズの年間スケジュールは一連ステップで構成されています。制度対象者は毎年9月30日までに届出を行い、11月末に排出枠の割当てを受けることになります。翌年度9月30日までに排出実績量を報告し、翌年度1月31日までに保有義務を履行しなければなりません。なお、2026年度は初年度特例として排出目標量の届出が2027年9月30日まで延長されます。

GX-ETSスケジュール 背景

GX-ETS第2フェーズは毎年度の手続きサイクルが明確に定められた制度にあたります。しかし制度開始初年度の2026年度は通常と異なるスケジュールが適用されるため、対象企業は2つのスケジュールを正確に把握することが求められます。

特に重要なのは、2027年度以降は2年度分の手続きが同時並行で進む点にあります。当年度の届出作業と前年度の排出実績量の報告が同じ9月30日に重なるため、実務負荷が大きくなることは避けられません。こうした並行処理を円滑に進めるには、早い段階から体制を整備し、計画的に作業を進めることが不可欠といえるでしょう。

一方、ERMSという専用の電子システムを通じて届出や報告を行う点も、従来の報告業務とは異なります。GビズIDの取得やアカウント開設といった事前準備が必要であり、これらは制度対応の第一歩として早期に着手すべき事項となっています。

GX-ETSスケジュール 定義

SSPはGX-ETSのスケジュールを次のように定義しています。制度対象者が毎年度繰り返す一連の手続きサイクルであり、判定、届出、割当て、排出量算定、報告、保有義務履行、償却の各ステップから構成されます。各ステップには法定の期限が設けられており、不履行には罰則が適用されることとなります。

初年度の特例とは、2026年度に限り排出目標量等合計量の届出期限が通常の9月30日から翌年の2027年9月30日に延長される措置を指します。ただし、基礎情報の届出と移行計画の提出は2026年9月30日が期限であり、猶予の対象にはなりません。

GX-ETSスケジュール 結論

SSPはスケジュール管理において、次の3点を特に重要と考えています。

第一に、2026年度の特例スケジュールを正確に理解することが挙げられます。排出目標量の届出は猶予されますが、基礎届出と移行計画は猶予されません。この区別を誤ると法令違反となりかねません。

第二に、2027年度からの並行処理に備えた体制を早期に構築する必要があります。当年度の目標届出と前年度の実績報告が同じ9月30日に重なる構造は、制度が続く限り毎年発生するため、恒常的な対応体制が求められます。

第三に、登録確認機関との契約を早期に進めることが不可欠となります。排出目標量と排出実績量の両方について確認が必要であり、確認作業にはまとまった期間を要します。期限直前に契約しても間に合わない可能性があるため、早めの対応が望まれます。

GX-ETSスケジュール 論点

論点

論点実務での重要度判断のポイントよくある誤解SSPの推奨スタンス
初年度の特例範囲排出目標量の届出のみ猶予。基礎届出と移行計画は猶予なし2026年度は何も届出不要という誤解特例で猶予される範囲と猶予されない範囲を明確に区別する
2年度分の並行処理当年度の目標届出と前年度の実績報告が9月30日に重なる実績報告は翌々年度でよいという誤解4月から並行して作業を進める体制を構築する
登録確認機関の確認時期届出前に排出目標量の確認が必要。報告前に排出実績量の確認が必要届出後に確認を受ければよいという誤解7月から8月に確認を受けられるよう、4月から準備を開始する
ERMSアカウント開設GビズIDが必要。2026年6月1日からERMS開設が可能いつでもアカウント開設できるという誤解4月の制度開始と同時にアカウント開設を完了する
排出枠の保有義務の期限翌年度1月31日。不足分は市場調達か上限価格で清算3月末まで猶予があるという誤解11月の割当て後すぐに過不足を確認し、必要な調達を開始する
届出内容の変更届出完了後に変更がある場合は速やかに変更届出が必要一度届出が完了すれば変更不可という誤解変更が生じたら速やかに対応する
移行計画の公表経済産業大臣と事業所管大臣が公表する自社で公表タイミングを選べるという誤解投資計画やR&D情報が公表される前提で移行計画を作成する

GX-ETSスケジュール 比較

比較項目2026年度の特例スケジュール2027年度以降の通常スケジュール
基礎情報の届出2026年9月30日毎年9月30日
排出目標量等合計量の届出2027年9月30日まで延長毎年9月30日
移行計画の提出2026年9月30日毎年9月30日
排出枠の割当て2027年11月30日毎年11月30日
排出実績量の報告2027年9月30日割当年度の翌年度9月30日
保有義務の履行2028年1月31日割当年度の翌年度1月31日
並行処理の発生なし当年度の届出と前年度の実績報告が同時
排出目標量の確認2027年9月30日までに完了毎年9月30日までに完了
排出実績量の確認2027年9月30日までに完了割当年度の翌年度9月30日までに完了

GX-ETSスケジュール 重要点

一連の詳細な流れ

制度対象者が毎年度行う手続きは次のステップで構成されています。

Step1は判定にあたります。各事業者は年度平均排出量を算出し、制度対象であるか否かを判定します。

Step2は排出目標量等合計量の算出となります。ベンチマーク方式またはグランドファザリング方式で排出目標量を算出し、勘案事項による調整量を加えます。

Step3は届出で、9月30日までにERMSを通じて届出を行わなければなりません。

Step4は移行計画の提出にあたります。排出量の見通しや投資計画を記載した移行計画を経済産業大臣と事業所管大臣に提出します。

Step5は排出枠の割当てで、11月30日に経済産業大臣から排出枠が割り当てられます。

Step6とStep7は排出実績量の算定と報告が求められます。割当年度のCO2直接排出量を算定し、登録確認機関の確認を受けた上で、翌年度9月30日までに報告する流れとなっています。

Step8は保有義務の履行にあたり、翌年度1月31日までに保有義務量分の排出枠を保有しなければなりません。

Step9は償却で、経済産業大臣が保有義務量分の排出枠を償却します。不足がある場合は未償却相当負担金の納付義務が発生することとなります。

2026年度に企業が実施すべき具体的事項

2026年度に制度対象となる企業が実施すべき事項は以下の通りとなっています。

まず、ERMSのアカウント開設と法人等保有口座の開設を行います。GビズIDアカウントが前提となるため、事前に取得しておかなければなりません。共同届出を行う場合は、共同届出体の組成手続きを進めます。密接関係者に対する登録申請と承認取得が必要となります。

続いて、保有する全ての工場等の情報をERMSに登録します。
年度平均排出量を算定し、ERMSを通じて届出を行います。この期限は2026年9月30日にあたります。
移行計画を作成し提出します。こちらも期限は2026年9月30日となっています。

そのうえで、排出実績量の算定に向けたモニタリング体制を構築しておくことが望まれます。

GX-ETSスケジュール 手順

1. GビズIDを取得しERMSのアカウントを開設する2026年6月1日から申請可能であり、法人等保有口座もアカウント開設時に自動的に開設されます。

2. 工場等の情報をERMSに登録する。自社が保有する全ての工場等について、名称、所在地、割当方式などを登録します。

3. 年度平均排出量を算定し届出を準備する。直近3年度のCO2直接排出量の平均を算出します。2026年9月30日が届出期限にあたります。

4. 排出目標量の算定と登録確認機関による確認を受ける。BM方式またはGF方式で排出目標量を算出し、登録確認機関の確認を受けます。2026年度については2027年9月30日が届出期限となっています。

5. 移行計画を作成し提出する。投資計画やR&D情報を含む移行計画を作成します。2026年9月30日が提出期限にあたります。

6. 排出枠の割当てを受け、過不足を確認する。11月30日に割当てを受けた後、排出実績の見通しと照らして過不足を確認します。

7. 排出実績量を算定し、登録確認機関の確認を受けて報告する。割当年度の翌年度9月30日までに報告することが求められます。

8. 保有義務を履行する。翌年度1月31日までに保有義務量分の排出枠を保有しなければなりません。不足する場合は市場調達または上限価格での清算を行います。

GX-ETSスケジュール FAQ

Q1 2026年度は届出をしなくてよいのですか

排出目標量等合計量の届出は2027年9月30日まで猶予されますが、事業者の基礎情報と年度平均排出量の届出は2026年9月30日が期限となっています。移行計画の提出も同日に求められます。したがって、2026年度に全く届出が不要ということにはなりません。

Q2 ERMSのアカウントはいつから開設できますか

2026年6月1日から開設申請が可能となります。GビズIDアカウントが前提となるため、GビズIDを持っていない企業はデジタル庁のウェブサイトから事前に取得しておく必要があります。

Q3 登録確認機関の確認はいつまでに受ければよいですか

届出の前に確認を受ける必要があります。9月30日の届出期限に間に合うよう、7月から8月には確認を受けられるスケジュールで準備を進めるべきでしょう。確認には一定期間を要するため、4月から準備を開始することを推奨いたします。

Q4 排出枠が足りない場合、いつまでに調達すればよいですか

保有義務の期限は割当年度の翌年度1月31日となっています。11月30日に排出枠の割当てを受けた後、不足が見込まれる場合は早めに市場での調達を検討すべきといえます。

Q5 届出後に変更が生じた場合はどうすればよいですか

届出事項に変更があった場合は速やかに変更届出を行わなければなりません。ただし排出目標量等合計量と勘案事項の変更は排出目標量等算定マニュアルの手続きに従う必要があります。なお、合併により消滅する事業者は消滅日までに届出が求められます。

Q6 移行計画は毎年提出する必要がありますか

毎年9月30日までに提出しなければなりません。移行計画は経済産業大臣と事業所管大臣によって公表されるため、投資計画やR&D情報が外部に開示される前提で作成することが求められます。

GX-ETSスケジュール 全体像

GX-ETS第2フェーズの制度全体像については、制度の骨格から届出、償却までの流れを網羅的に解説した記事をご覧ください。

GX-ETSスケジュール まとめ

GX-ETSのスケジュールは、毎年度繰り返される一連ステップの手続きサイクルで構成されています。制度対象者は9月30日の届出期限、11月30日の割当て、翌年度9月30日の実績報告、翌年度1月31日の保有義務履行という4つの主要期限を確実に管理することが求められます。

2026年度は初年度特例により排出目標量の届出が猶予されますが、基礎届出と移行計画は猶予の対象となりません。2027年度以降は2年度分の手続きが並行するため、早期の体制構築と計画的な作業進行がSSPとして最も重要な推奨事項にあたります。

この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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