GX実現に向けたカーボンプライシング専門WGの経緯と論点

GX実現に向けたカーボンプライシング専門ワーキンググループは、2050年カーボンニュートラル実現を視野に、経済成長と環境対策を両立する炭素価格制度を検討するため2024年に設置されました。2024年9月から12月にかけて計5回開催され、関係業界・研究機関の意見を踏まえて2026年度開始予定の排出量取引制度(ETS) を含む制度設計が議論されました。

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目次

カーボンプライシング 要約

GX実現に向けたカーボンプライシング専門ワーキンググループは、経済成長と環境対策を両立するための炭素価格制度を検討する政府主導の会議です。2024年9月から12月にかけて計5回開催され、企業や研究機関から意見を集め、2026年度の排出量取引制度本格稼働に向けた制度設計が議論されました。

カーボンプライシング 結論

GX実現に向けたカーボンプライシング専門ワーキンググループは、日本政府が2024年に設置した専門会議で、持続的な経済成長と脱炭素化を両立させる炭素価格制度の在り方を検討しています。これまでに計5回の会合が開催され、業界団体や学術機関のヒアリングを通じて、2026年度から本格稼働する排出量取引制度(ETS) を軸とした制度設計が議論されています。企業はこの動きを踏まえ、自社の温室効果ガス排出量の把握と低減計画の策定に早期に取り組む必要があります。

カーボンプライシング 背景

  • 2022年7月、日本政府は脱炭素と経済成長の両立をめざし、官邸に『GX実行会議』を設置し、2050年カーボンニュートラルと2030年度46%削減の両立方針を検討しました。

  • 2023年5月には、GX投資促進のための先行投資支援や将来的なカーボンプライシング導入を定めた「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律」 (GX推進法)が成立し、高額な先行投資支援と段階的な価格導入方針が盛り込まれました。

  • 本専門ワーキンググループは内閣官房GX推進室が事務局となって2024年に立ち上げられ、2024年9月3日の第1回会合を皮切りに同年12月19日の第5回まで合計5回開催されました。各回で鉄鋼・化学・自動車など産業界や研究機関の意見聴取が行われ、カーボンプライシングの在り方が協議されています。
  • ワーキンググループでは「成長志向型カーボンプライシング」構想に基づき、初期段階での大規模投資支援(10年間で約20兆円)を実施し、徐々に炭素負担を引き上げる計画が想定されています。そのうえで2026年度から排出量取引制度(ETS)を導入し、企業間で排出権を売買する方式で市場価格を形成する方向で議論が進められています。

  • 現段階の案では、CO2の直接排出量が年間10万トン以上の大企業約300~400社がETSの対象となる見込みで、対象外企業への配慮策も議論されています。

カーボンプライシング 定義

カーボンプライシングは、企業活動などで排出されるCO2に価格を付与することで排出削減を促す政策手法である。代表的な方式として排出量取引制度 (ETS)と炭素税があり、ETSでは排出枠の上限(キャップ)を設定して超過分を企業間で取引させる。一方、炭素税は排出量に応じた税率を企業に課す仕組みである。

カーボンプライシング 基礎

2022年7月、日本政府はGX実行会議を発足させ、GX推進の政策方針を検討しました。2050年カーボンニュートラル実現に向け、脱炭素投資と経済成長の両立を基本方針としています。2023年5月にはGX推進法が成立し、脱炭素投資促進のための先行投資支援や、将来的な炭素価格導入が法令で明記されました。特に初期10年間で約20兆円規模の投資支援を行う方針が示され、企業のGX投資にインセンティブを付与する考え方が示されています。

  • 専門WGでは内閣官房GX推進室が事務局を務め、2024年9月から12月に5回会合を開催して各業界団体やNGOからヒアリングを実施しています。会合では主に2026年度のETS本格稼働に向け、対象企業の範囲や排出量報告・検証義務、価格安定化策などが議論されています。

  • 提示されている制度案では、ETS対象企業には前年度まで直近3年平均でCO2直接排出量10万トン以上の法人が含まれ、対象企業には毎年の排出量報告と第三者検証が義務付けられます。政府は排出枠の上限価格・下限価格を設定し、価格高騰時には不足分の買取り、価格低迷時にはオークションで市場安定化を図る構想を検討しています。

  • カーボンプライシングは世界各国でも導入が進んでおり、企業は欧州のEU-ETSなどを参考にしつつ、日本版制度にも備える必要があります。

カーボンプライシング 論点

論点実務での重要度判断のポイントよくある誤解SSPの推奨スタンス
制度形式の選択ETSと炭素税の組み合わせや導入時期ETSと炭素税を混同、どちらか一方で十分ETSを中核に段階的導入、税の併用も検討
対象企業の範囲カバー率(全排出量)と企業への負担のバランス大企業のみ関係ある、小規模企業は無視明確な排出量基準設定、中小企業支援策検討
価格変動リスク対策価格上限・下限の設定による市場安定策市場まかせで十分、上限不要価格上限・下限の設定や安定化措置を導入
収益の使途炭素税収入・ETS収益の再投資先(GX投資支援など)税は一般財源、企業に還元されない収益は脱炭素投資支援や補助金に充当
移行措置・インセンティブ初期投資支援と価格段階引き上げの計画即時重課で投資阻害初期は支援重視、徐々に炭素負担を引き上げ
データ信頼性検証排出量算定方法の精度と第三者機関による検証企業申告だけで十分高精度な測定と外部検証を義務付け
国際協調他国制度(EU-ETS、炭素国境税)との整合性国内だけで完結でよい国際動向を踏まえ、CBAMなど連携策も検討

カーボンプライシング 比較

比較項目排出量取引制度(ETS)炭素税
価格決定方式市場需給で価格が変動税率による価格固定
価格変動リスク大きい(市場環境で変動)小さい(固定価格)
排出削減の確実性排出枠設定で抑制量は確実税率設定のみでは不確定
企業の事務負担排出量報告・第三者検証が必要燃料・エネルギー使用量に税率を適用
収益の帰属取引による利益は市場参加者へ税収は国庫へ帰属

カーボンプライシング 手順

  1. 情報収集・体制整備
    内閣官房や経産省の公開資料から制度の趣旨や導入スケジュールを把握し、社内で担当部署や報告体制を確認します。

  2. 影響範囲の分析
    自社の温室効果ガス排出量を集計し、対象となる可能性のある施設・部門を抽出します。排出量目標やコストへの影響を試算します。

  3. 関係者連携
    業界団体や行政との意見交換やパブリックコメントを通じて議論の最新動向を把握し、自社の意見や懸念点を整理します。

  4. GHGインベントリ整備
    温室効果ガス排出量の計算・報告体制を整え、必要に応じて第三者検証を実施できる体制を構築します。信頼性の高いデータ収集が必須です。

  5. 対策検討
    炭素価格の導入に伴うコスト負担を踏まえ、設備更新や技術投資、原料調達計画の見直しなど、事業戦略全体を検討します。制度移行期間の優遇措置や補助金の活用も視野に入れます。

  6. 社内周知・教育
    政策動向や社内対応計画を関係者に共有し、従業員教育や経営判断に資する社内研修を実施します。

カーボンプライシング FAQ

Q1このワーキンググループの目的は何ですか?

GXの実現を見据え、経済成長と脱炭素投資のバランスを取るための炭素価格制度の設計案を検討することです。具体的には、排出量取引制度や将来の炭素税など、企業負担と支援策の両面から最適な制度構成を議論しています。

Q2 これまで何回開催されましたか?

2024年9月3日の第1回から12月19日の第5回まで、計5回開催されました。各回で鉄鋼や化学、自動車などの業界団体を招いたヒアリングが行われています。

Q3 排出量取引制度(ETS)と炭素税にはどんな違いがありますか?

ETSは政府が総量枠を設定し、企業間で排出権を売買して価格を形成する方式です。価格変動が大きい反面、総排出量の抑制が確実に達成できます。一方、炭素税は排出量に対して一定の税率を課す方式で、価格は安定しますが排出量抑制効果は税率設定によって左右されます。

Q4 成長志向型カーボンプライシング構想とは何ですか?

2050年カーボンニュートラルと経済成長を両立する枠組みで、初期段階で約10年間20兆円規模の先行投資支援を行い、炭素負担は低く抑えつつ徐々に引き上げる計画です。当面は投資インセンティブを優先し、後年にかけて段階的に炭素価格を高める方針が盛り込まれています。

Q5 どの企業が制度対象になりますか?

政府案では、CO2の直接排出量が直近3年平均で年間10万トン以上の大企業(約300~400社)が対象と見込まれています。それ未満の企業は義務対象外ですが、サプライチェーン全体で脱炭素への取組を進める役割が求められています。

Q6 企業は今から何を準備すればよいですか?

制度設計の動向を注視しつつ、自社のGHG排出量を正確に把握する体制を整えることが重要です。測定・報告に第三者検証が必要となる可能性が高いため、測定体制の整備と検証機関との連携準備を始めてください。また、排出量取引制度導入後の価格負担を踏まえて、設備投資や低炭素技術導入などの事業戦略も早めに検討しましょう。

カーボンプライシング まとめ

以上、GX実現に向けたカーボンプライシング専門ワーキンググループの経緯と論点を整理しました。2024年末までに5回の会合が開かれ、2026年度導入の排出量取引制度を中心に議論が進みました。企業は引き続き制度動向を確認し、自社の温室効果ガス排出量算定と低炭素化計画の策定を急ぐ必要があります。

カーボンプライシング 参考リンク

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この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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