グループ連携 × ホスピタリティ──電通総研が掴んだ第三者検証の成功方程式
今年、創立50周年を迎える電通総研様は、国内グループ全体における温室効果ガス(GHG)排出量(Scope1,2,3*1)について第三者保証を取得しました。サステナビリティ経営を重視する同社は、なぜ今この取り組みに踏み切ったのでしょうか。これまでの取り組みの軌跡、得られた成果、今後の展望について、コーポレートガバナンス部 サステナビリティ推進グループで環境分野のリーダーを務められている大内様に話をお伺いしました。
1. 電通総研のサステナビリティ推進
Q: まず、電通総研様の事業概要とサステナビリティ推進の位置付けをお聞かせください。
大内氏: 電通総研は、「HUMANOLOGY for the future~人とテクノロジーで、その先をつくる。~」という企業ビジョンの下、「システムインテグレーション」「コンサルティング」「シンクタンク」という3つの機能の連携により、企業・官庁・自治体や生活者を含めた「社会」全体と真摯に向き合い、課題の提言からテクノロジーによる解決までの循環を生み出し、より良い社会への進化を支援・実装することに取り組んでいます。
長期的には、「誠実を旨とし、テクノロジーの可能性を切り拓く挑戦者として、顧客、生活者、社会の進化と共存に寄与する。」というミッションと、テクノロジーの活用・実装を通したサステナブルな社会の実現を目指すサステナビリティ方針を両輪に、2030年のありたき姿を示す長期経営ビジョン「Vision 2030」の達成を目指しています。
2025年は、Vision 2030達成に向けた第2ステップである新中期経営計画「社会進化実装2027」を策定しており、サステナビリティについてもグループ企業やパートナー企業と協調してさらに推進する方針としています。そして、マテリアリティの1つに「環境・社会課題の解決」を掲げ、サステナビリティを「社会貢献や法規制対応だけでなく、ビジネスをより強固にする要素の一つ」に位置付けていることは、当社グループの特長だと感じています。*2
Q: 自社の環境分野への対応についてはどのように捉えられていますか。
大内氏: データセンター等の大規模排出源や高エネルギー設備を有しておらず、環境負荷は小さいものの、さまざまな業種・業態の企業や自治体を支援する立場であることから、当社グループが率先して環境分野への対応をすべきだと考えています。
具体的には、脱炭素ソリューションを開発・提供するとともに、電通総研自ら積極的な排出量削減と情報開示を行っています。今回のScope1,2,3における第三者保証取得もその一環として捉えており、社内外に“有言実行”の姿勢を示すことにより、当社グループの信頼性や競争力の向上につなげたいという想いがありました。
2. 環境評価の壁を突破する鍵は「データの信頼性」
Q: 今回、Scope1,2,3すべての排出量で第三者保証を取得されようとした背景や課題感を教えてください。
大内氏: 親会社である電通グループが当社グループデータを含む形で全社保証を取得していますが、当社自身もプライム上場企業としての社会的役割をきちんと果たすにはどうあるべきかを考え、当社でも第三者保証を取得し、イニシアチブを持って環境への本気度を示したいと考えた次第です。
また、当社に対するサステナビリティ外部評価を確認すると、ガバナンスや社会面の評価と比較して、環境面がボトルネックになっていました。ITやテクノロジーが主な事業内容のため、直接的な削減施策を打ち出しにくく、また開示データの信頼性が課題だったからです。こういった観点からも、第三者保証による情報開示の品質とレピュテーションの向上を目指しました。

3. 鍵となった電通グループとの連携プロセス
Q: 実際にご対応されてみて、プロジェクト推進での難所はどの部分でしたか。
大内氏: 一番の難所は電通グループとしての算定と、入れ子となっている当社グループとしての算定における整合性の確保でした。排出量算定の前提である係数やルールは電通グループ本体が定めているため、当社グループとしてもその枠組みの中で算定する必要があり、疑問が出るたびに確認と承認が必要でした。
組織の垣根を越えた体制を構築した後は、日々の確認、日程調整や現地検証は想定以上に円滑でした。現地検証は、電通グループ担当者も同席し、サポートいただいたおかげでスムーズに進みました。許可取りも事前に済ませていたので、検証人が必要とする追加資料をその場で提示できました。もしここが機能していなければ工数は倍増していたと思います。
将来は当社のようにグループ会社単独で保証を取るケースも増えてくると思います。そのときに備え、グループ内で「疑義を即解消できる回線」を常設しておくことが鍵だと痛感しました。今回、電通グループ担当者から「サステナビリティを推進する挑戦にサポートを惜しまない」とコメントがあったことが励みになりました。
4. 決め手はホスピタリティ――要件可視化で社内説明も円滑に
Q: 数社を比較した中で SSP を選んだ決め手は何だったのでしょうか。
大内氏: 一言で言えば圧倒的なホスピタリティです。見積りを依頼した複数社の中で、SSPは問い合わせへのレスポンスが最速でした。しかも「電通グループとの連携にあたっての検証業務への影響は?」「こういう場合のバウンダリー設定は?」といった細かな質問にも、早々に要件の整理と選択肢を示してくれました。
要件定義が即座に可視化されたことで、社内説明が驚くほど楽になりました。第三者検証中も当社が使い慣れたツールでファイル共有や進捗管理を統一したことで、社内関係者への説明も容易に進み、エビデンス確認などに集中できたことも嬉しい点でした。また、現地検証を含め、検証人の視点が鋭く、かつ柔軟でした。
さらに最終局面には報告書のレイアウト変更依頼や証跡追加にも数日で対応してくれ、“専門性の高さ”と“融通のきく伴走力”を両立していたのが魅力です。得られた安心感とスピードを考えれば投資対効果がとても高いと感じました。結果として「SSPにお願いして良かった」と社内で一致した評価になっています。

5. 保証取得を起点とした次の一歩
Q: 最後に、今後の取り組みに向けた抱負をお聞かせください。
大内氏:今回の取り組みを通じて、環境情報の信頼性の確保に加え、温室効果ガス排出量の集計プロセスやデータ管理体制を見直し、関係各社と連携した推進体制の構築に向けたはじめの一歩を踏み出せたことも大きな成果でした。
今後は、今回改善点として挙がった集計や推進体制の整備と保証範囲の拡大に向けて検討を進めていきます。今回得た知見を横展開し、社会課題の解決と事業成長の一助となれたらと思っています。
<引用>
*1 : サステナビリティデータサマリー | サステナビリティ | 電通総研
Scope1,2,3保証対象項目にはチェックマークを表示しています。
*2 : 統合レポート | IR情報 | 電通総研