S&P CSA スコア獲得の一般的なポイントを解析

S&P CSAで高評価を得るためには、計画的な準備と戦略的な対応が不可欠です。本記事では、質問票に効果的に回答するためのコツ、社内準備の進め方、スコア向上のための内部施策について解説します。業種別の傾向や最新トレンドを踏まえ、効率的かつ効果的にスコアを伸ばすための実践的なアプローチを見ていきましょう。

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目次

1. CSA回答に向けた社内準備

全社横断プロジェクトチームの構築

CSAで高得点を目指すには、回答に先立つ段階から入念な準備が必要です。CSAの質問内容は広範囲に及ぶため、環境、社会(人事・労務や社会貢献)、ガバナンス(リスク管理やコンプライアンス)といった各テーマに精通した部署の協力体制を構築しましょう。経営層からのコミットメントを得て、サステナビリティ推進室が中心となり全社横断のプロジェクトチームを編成すると効果的です。

前年度結果の分析と優先課題の特定

準備段階では、前回回答済みであればその結果の詳細分析から始めます。前回スコアや各設問の評価を振り返り、特に低得点だった領域を洗い出しておけば、今年重点的に補強すべきポイントが明確になります。初めて挑戦する場合でも、質問票全体を通読して自社で即答できない項目を把握し、早期に必要データや情報源の所在を確認しておくことが大切です。

定量データの事前収集と外部リソースの活用

温室効果ガス排出量や労働災害率などの定量データは、事前に関連部署から収集しておく必要があります。質問の意図が分かりにくい場合には、ガイダンス資料の参照やS&P主催のウェビナーへの参加、必要に応じて専門アドバイザーの助言を得ることも検討しましょう。

「Review & Add」方式への対応

準備期間中に、自社の公開しているESG情報を最新化しておくと有利です。CSAには前年度の公開情報を基にS&P側が回答案を作成し、企業がレビュー・追記する方式があります。これを利用するには、最新の統合報告書やサステナビリティレポートにCSAに関連する情報を漏れなく開示しておく必要があります。公開情報の整備は、回答の土台強化に直結します。

2. 効果的な回答のポイント

設問要求の正確な把握

実際の回答段階では、まず設問の要求事項を正確に捉えることが重要です。CSAの設問は一問の中で複数の要素を問うものも多く、聞かれている内容を丁寧に読み解き、漏れなく回答する必要があります。自社が講じている施策や達成した数値目標など、関連する情報を具体的に記述しましょう。

客観的エビデンスの提示と英訳

可能な限り客観的なエビデンスを示すことが肝要です。社内規程の抜粋や第三者検証済みのデータ、社外公開資料への言及など、回答内容を裏付ける証拠を添付することでスコアへの反映が確実になります。エビデンスは原則として英語での提出となるため、社内資料の英訳も事前に用意しておく必要があります。

公開情報との整合性確保

質問票への回答と、統合報告書やホームページなどで公表している情報との間に齟齬がないよう注意してください。S&Pは提出回答と公開情報の双方を確認して評価を行うため、整合性がとれていない場合は減点につながる可能性があります。定量データについては計算方法や範囲を明確にし、出典や年度を揃えるなど正確性を担保しましょう。

ベンチマーク情報の戦略的活用

同業他社の取り組み状況やベストプラクティスを調査することも有効です。S&Pの提供するツールを用いて、競合他社のスコアや回答傾向を分析することで、自社回答を改善できるポイントが見えてきます。業界トップ企業が開示している目標値や施策事例を参考に、自社の実情に即した形で取り入れられないか検討しましょう。

3. スコア向上に向けた内部施策と改善

ESGパフォーマンスの実質的向上

CSAで問われるのは、企業のESGパフォーマンスそのものです。スコア向上のためには表面的なテクニックだけでなく、企業としての実績向上が欠かせません。質問票に取り組む中で判明した不足については、社内で改善策を講じましょう。例えば気候変動対応の目標が不十分であれば、経営計画において新たな削減目標を策定し、取締役会で承認を得るといったアクションが必要です。

継続的な改善サイクルとロードマップ

CSAを自社のサステナビリティ経営上の弱点を把握するための指標と捉え、継続的な改善につなげる意識が重要です。業界の最新トレンドや規制の変化にもアンテナを張り、先手を打って取り組みを進めましょう。毎年の評価サイクルを活用し、段階的にスコアを引き上げていくロードマップを描くと、社内の合意も得やすくなります。

経営層への報告と意識改革

CSAを社内KPIの一つとして位置付け、定期的に経営層へ報告することで、社内の意識改革と改善のモチベーション維持にもつながります。このPDCAサイクルを回すことで、社外からの評価向上と社内のESG定着を同時に実現することが可能になります。

4. 業種別の傾向を踏まえた戦略

業種ごとの配点ウェイトの把握

CSAでは業種によって各テーマの配点が異なります。エネルギーや素材産業では環境分野の比重が大きい一方、金融業ではガバナンスやリスク管理の要素が重視される傾向があります。自社の属する業界で高得点を得ている企業の動向を調べ、どのテーマで卓越した取り組みを行っているかを把握しておくと非常に参考になります。

マテリアリティへの重点投資

自社の属する業界で財務的影響度が高いとされる分野(マテリアリティ)に経営資源を重点投入することが肝要です。その取り組みの成果をCSAの回答に反映させることで、限られたリソースで効率的にスコア向上を図ることが可能となります。業種特性を意識したアプローチが、評価を最大化させる鍵となります。

引用

  • S&P Global「Corporate Sustainability Assessment (CSA)」回答ガイドライン
  • S&P Global「Review & Add」方式に関する解説資料
  • S&P Global「The Sustainability Yearbook(サステナビリティ年鑑)」
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この記事を書いた人

大学在学中にオーストリアでサステナブルビジネスを専攻。 日系企業のマネージングディレクターとしてウィーン支社設立、営業戦略、社会課題解決に向けた新技術導入の支援など戦略策定から実行フェーズまで幅広く従事。2024年よりSSPに参画。慶應義塾大学法学部卒業。

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