【SSBJ 動向】第25回ハイライト

サステナビリティ基準委員会(SSBJ)では、日本版ISSBの基準開発を行っています。この基準は、有価証券報告書発行の全企業に対し、2025年3月以降の会計年度から適用が開始されます。本記事では第25回サステナビリティ基準委員会で議論された、重要な審議事項を取り扱います。

目次

合理的で裏付け可能な情報

産業横断的な指標として、物理リスクの影響を受けやすい資産又は事業活動の数量及び割合等の開示が求められる可能性があります。

・IFRSサステナビリティ開示基準と整合的に、次の項目について、報告期間の末日において、利用可能な、全ての合理的で裏付け可能な情報をもちいなければならない。

・次の産業横断的指標の計算。気候関連の物理的リスクの影響を受けやすい資産又は事業活動の数量及びパーセンテージ。気候関連の移行リスクの影響を受けやすい資産又は事業活動の数量及びパーセンテージ。気候関連の機会と整合した資産又は事業活動の数量及びパーセンテージ。

国家の安全保障等に関する情報の開示

国家の安全保障を脅かす可能性のある防衛産業等の情報は開示しなくてもよいとされています。

・サステナビリティ関連のリスク及び機会に関する情報が、国家の安全保障等を脅かす可能性がある情報であると判断したときには、当該情報がサステナビリティ開示基準によって要求されていたとしてもこれを開示しないことができる。

・開示しないこととした情報項目のそれぞれについて、開示していない旨を開示しなければならない。

・開示しないこととした情報項目のそれぞれについて、各報告期間の末日において、開示しないための条件が満たされているかを再評価しなければならない

スコープ 3 温室効果ガス排出の絶対総量の開示における重要性の判断の適用

スコープ3の開示範囲において重要性の低いと、算定または推定等を行ったカテゴリーについては算出が任意とされています。ただしSBTやCDPなど他の開示要求事項・ガイドラインとは整合しておらず、SBT取得やCDP評価向上を目指す企業は、変わらず該当のカテゴリーすべてを算定することとなります。

・スコープ3温室効果ガス排出は、絶対増量を開示しなければならない。ただし重要性の乏しいカテゴリーについては、絶対総量の測定に含めないことができる。

・含めないことができるカテゴリーは、報告企業が前報告年度において開示したスコープ3温室効果ガス排出の絶対総量の100分の1以下の排出量となるカテゴリーをいう。

・企業は適用初年度において、スコープ3の15のカテゴリーのうち排出量が大きいと想定される上位3つのカテゴリーに限定して絶対総量を報告することができる。排出量が大きいと想定されるカテゴリーは、過年度に排出量を開示していない場合には同業他社が過年度に報告した排出量が大きいカテゴリーを参考に決定することができる。

この記事を書いた人

製造業/技術部門にて、水処理関連事業、ISO規格の環境監査を中心に従事。環境負荷、サーキュラーエコノミーに関する専門性を有する。

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