気候変動をはじめとする環境問題が世界的に注目される中、企業が持続可能な成長を実現するためには、透明性と信頼性のある環境情報を提供することが重要です。第三者保証は、その信頼性を担保するための重要な手段であり、国際基準に基づく保証業務が企業や社会に与える影響は大きいです。
特に2025年現在、サステナビリティ情報の開示規制(SSBJ基準やCSRDなど)が強化され、保証の取得が「推奨」から「義務」へと移行しつつあります。本記事では、環境分野における第三者保証の役割を、最新の国際基準や規格(ISSA 5000等)に基づいて体系的に解説します。


1. 第三者保証とは
第三者保証(Assurance)は、企業や組織が公表する情報の正確性や信頼性を、独立した外部機関が評価し確認するプロセスを指します。このプロセスは、情報の透明性を確保し、ステークホルダーからの信頼を得るための重要な手段です。
特に、温室効果ガス(GHG)排出量やサステナビリティ報告書、ESG(環境・社会・ガバナンス)データの信頼性が求められる現代において、その意義はますます高まっています。企業は第三者保証を導入することで、信頼性を担保された情報を基に、ステークホルダーとの関係を強化し、グリーンウォッシュ(見せかけの環境配慮)のリスクを回避することができます。
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2. 【第三者保証】IAASB(国際監査・保証基準審議会)
IAASBは、監査や保証業務における国際基準を策定する独立した国際機関です。近年は特に、サステナビリティ情報の信頼性を支えるための新基準策定に注力しており、2024年には包括的なサステナビリティ保証基準「ISSA 5000」を承認・公表しました。
IAASBが策定する基準群(ISAEシリーズ、ISSAシリーズなど)は、世界中の保証実務のデファクトスタンダードとなっており、企業のESG情報開示に対する信頼性を根底から支えています。
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3. 【第三者保証】ISAE 3000 保証業務の汎用基準
ISAE 3000は、財務情報以外のあらゆる情報を対象とした保証業務に適用される「包括的基準」です。長年にわたりサステナビリティ保証の主要基準として利用されてきました。
現在、サステナビリティ情報については新基準「ISSA 5000」への移行が進んでいますが、ガバナンス報告やコンプライアンス報告など、サステナビリティ以外の非財務情報においては、引き続きISAE 3000が唯一の包括的基準として重要な役割を果たしています。
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4. 【第三者保証】ISAE 3410 温室効果ガス排出量保証の国際基準
ISAE 3410は、温室効果ガス(GHG)排出量に関するデータの信頼性を担保するために、IAASBが策定した特化型基準です。
この基準は、GHG排出量の算定・報告プロセスに特有の科学的・技術的な課題(排出係数の選定や不確実性の評価など)に対応しており、Scope1, 2, 3の検証において実務的な指針を提供します。ISSA 5000が普及する中でも、GHG分野における詳細な検証手続の参照基準として、その重要性は変わりません。
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5. 【第三者保証】ISSA5000 サステナビリティ保証の新しい基準
ISSA 5000(International Standard on Sustainability Assurance 5000)は、サステナビリティ情報の保証業務に特化した新しい国際基準です。
2024年に正式承認されたこの基準は、従来のISAE 3000に代わり、サステナビリティ情報全般(気候、人的資本、人権など)に対する保証のグローバルスタンダードとなりました。会計士以外の専門家(エンジニア等)も利用できる設計となっており、SSBJ基準などの開示枠組みとセット
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6.【第三者保証】ISO(国際標準化機構)を解説
ISOは、国際的な標準規格を策定する独立した非政府組織です。ISOが策定する規格群は、企業が環境データを「算定(Quantification)」し、「報告(Reporting)」するためのルールを提供します。
保証の文脈において、ISO規格(ISO 14064シリーズ等)は、保証業務を行うための基準(ISO 14064-3)や、検証機関の適格性要件(ISO 14065)を提供し、IAASB基準(ISAE/ISSA)と並ぶもう一つの重要な柱として機能しています。
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7. 【第三者保証】ISO 14064 ISO 14065 温室効果ガス算定と報告の国際規格
ISO 14064シリーズは、GHG排出量の算定・報告・検証に関する包括的な規格です。
・ISO 14064-1: 組織レベルでの算定・報告(Scope1,2,3の可視化)
・ISO 14064-2: プロジェクトレベルでの削減量算定(J-クレジット等)
・ISO 14064-3: 検証および妥当性確認のための手引き
また、ISO 14065は検証機関に対する能力要件を定めており、これらの規格は、排出量取引制度(GX-ETSなど)やカーボンクレジットの認証において広く採用されています。
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8. 【第三者保証】ISO 14067 製品カーボンフットプリント管理の国際基準
ISO 14067は、製品のライフサイクル全体(LCA)にわたる温室効果ガス排出量(CFP)を算定し、報告するための国際標準規格です。
欧州の「エコデザイン規則」や「デジタルプロダクトパスポート(DPP)」の導入に伴い、製品単位での正確なCO2データの開示が求められる中、この規格に基づく算定と第三者検証のニーズが急速に高まっています。
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9.まとめ
本記事では、環境分野における第三者保証の役割と主要な国際基準について体系的に解説しました。
IAASBの「ISSA 5000」やISOの各規格は、それぞれ異なる役割を持ちながらも、企業のサステナビリティ情報の信頼性を高めるという共通の目的を持っています。企業は自社の開示目的(法定開示か、任意開示か、製品単位か)に応じて適切な基準を選択し、第三者保証を活用することで、持続可能な成長と競争優位の確立につなげることができます。


