2026年のCDP水セキュリティ質問書では、企業の水資源に関する情報開示が一段と進化し、データの信頼性確保が重要テーマとなっています。その中で注目されるのが環境データに対する第三者保証です。本記事では、CDP質問書の概要と第三者保証の関係性、さらにデータ信頼性向上やCDPスコアへの影響について、企業のESG担当者向けに解説します。


CDP2026 水セキュリティ質問書と第三者保証について
2026年のCDP水セキュリティ質問書では、企業の水資源に関する情報開示が一段と進化し、データの信頼性確保が重要テーマとなっています。その中で注目されるのが環境データに対する第三者保証です。本記事では、CDP質問書の概要と第三者保証の関係性、さらにデータ信頼性向上やCDPスコアへの影響について、企業のESG担当者向けに解説します。
1. CDP水セキュリティ質問書の概要と2026年の動向
水リスクへの関心の高まり
CDP水セキュリティ質問書は、国際環境非営利団体CDPが企業の水リスク対応や管理を評価する情報開示プログラムです。近年、洪水や干ばつなどの水関連リスクが深刻化しており、機関投資家や企業の間でこのプログラムへの関心が高まっています。企業が水リスクに対し、どのような目標設定や対策を講じているかを示すことは、持続可能な経営に不可欠であると認識されています。
日本企業の取り組み状況
CDP水セキュリティプログラムにおいて、最高評価であるAリストに選定される企業は年々増加しています。2022年には日本企業が35社選出され、国別で最多となりました。これは、日本企業が水資源管理の透明性向上に積極的に取り組んでいる姿勢の表れといえます。
CDP 2026における国際基準との整合
2026年に向けて、水関連の質問書は内容の拡充と改訂が予定されています。具体的には、開示項目が国際ガイドラインであるGRI 303(水と排水)基準に沿って整理される見込みです。水使用量やリスク指標が標準化されたフォーマットで報告されるようになり、他のサステナビリティ報告や規制対応へのデータ転用が容易になることで、報告負担の軽減が期待されています。
中小企業への対象拡大
2026年からは、中小企業向けのSME版質問書にも森林や水資源に関する設問が新設されます。これらは現時点ではスコアリング対象外の任意項目ですが、将来的な必須開示や採点化を見据え、早期に水データの把握を進めることが狙いとなっています。
2. 環境データの第三者保証とは何か
第三者保証の定義と目的
第三者保証とは、企業が開示する環境データについて、独立した第三者機関が管理や報告プロセスを客観的に検証し、その正確性を保証する仕組みです。ここでいう第三者とは、データ提供者からも利用者からも独立した専門機関を指します。その目的は、外部のお墨付きを与えることでデータの信頼性を担保し、投資家や取引先からの信用を強化することにあります。
検証に使用される国際基準
第三者保証は、通常、以下のような国際的に認知された基準に基づいて行われます。
ISO 14064-3:温室効果ガス検証に関する規格。
ISAE 3000/3410:サステナビリティ情報全般およびGHG検証に特化した監査基準。
保証水準の種類と保証声明書
検証には、重大な誤りがないことを表明する限定的保証と、より高い確信度で正確性を保証する合理的保証の2種類があります。CDPにおいては、どちらの水準であっても同等のポイントが付与されるため、まずは限定的保証から取得する企業も多く見られます。検証完了後には、範囲や基準、結論が明記された保証声明書が発行され、信頼性の証拠として活用されます。
3. CDP水セキュリティ質問書における第三者保証の役割
リーダーシップ評価への影響
CDPスコアリングにおいて、第三者保証の有無は評価に直結する重要項目です。CDPは、リーダーシップ評価(Aランク)の獲得には環境データの第三者検証が必要不可欠であると明言しています。気候変動分野では、排出量の検証がAランク選定の前提条件となっており、検証未実施の場合は他の設問で得点していても評価が制限される仕組みです。
水セキュリティにおける具体的な設問
水セキュリティ分野でも、主要なデータの第三者保証はA評価取得のために極めて重要です。質問書内の設問W9.1aでは、水使用量や排水量などのデータごとに、検証の有無、割合、使用基準の詳細が問われます。CDPは検証の有無だけでなく、保証水準やカバー率、機関名などの詳細も回答させており、これらはスコアリングに直接反映されます。
データの信頼性向上と社内プロセス
第三者保証のメリットはスコア向上に留まりません。検証過程で専門家のチェックを受けることにより、算定方法のミスや抜け漏れが是正され、社内のデータ管理体制が強化されます。正確なデータ収集フローが整備されることは、環境パフォーマンス管理のレベルアップに寄与します。
ステークホルダーに対する信用力
独立した検証を経たデータは、投資家や取引先に対して強い説得力を持ちます。特にESG投資を重視する投資家にとって、検証済みデータは品質保証の証となり、企業のレピュテーション向上や企業価値の向上に繋がります。また、グローバルで進む開示義務化の流れにスムーズに対応できる準備にもなります。
4. 第三者保証を取得するためのポイントと手順
検証スコープの設定と機関の選定
まずは、CDPで問われる総取水量や排水量など、保証を受ける範囲を明確にします。気候変動データとまとめて検証を行うと効率的です。機関の選定においては、国際基準に基づく資格を持ち、CDPが認める基準で業務を提供できるパートナーを選ぶことが重要です。
段階的な検証プロセス
検証は、計画立案から事前資料の提供、オンサイトまたはリモートでの実地監査というステップで進みます。検証人は算定ロジックやエビデンスを抽出し、報告値との整合性を確かめます。差異が見つかった場合は企業が修正を行い、最終的に重大な虚偽がないと判断された時点で保証声明書が発行されます。
スケジュール管理と継続的改善
CDPの提出期限の数ヶ月前には検証を完了できるよう、余裕を持った計画を立てましょう。特に初めて取得する場合は、データ整備に時間を要する可能性があります。また、検証で得られた指摘事項を翌年のプロセスに反映させ、継続的にデータ品質を高めていく姿勢が、長期的なスコア向上には欠かせません。
5. まとめ
2026年のCDP水セキュリティ質問書では、データの正確性と信頼性の確保がこれまで以上に重視されます。第三者保証は、企業の環境データに客観的な信頼性を与え、CDPでの高評価獲得や投資家からの信頼獲得を実現する有力な手段です。ESG担当者は、早めの準備と戦略的な取得検討を進めることが推奨されます。
引用
https://www.cdp.net/ja/disclosure-2026


